
2026年5月15日。森保一監督によって、FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会に臨むサッカー日本代表のメンバー26人が発表された。会見の場で涙を浮かべながらリストを読み上げる指揮官の姿は、多くのメディアやファンの注目を集め、悲願のベスト8、さらには優勝へ向けた強い覚悟を印象づけた。歴代最高とも称される海外組を中心とした陣容には、大きな期待が寄せられている。
一方、その華やかなメンバーリストには、懸念の声も少なくない。W杯という世界最高峰の短期決戦において、チームの総合力やポジションごとのバランス、さらには選手のコンディション管理が勝敗を左右する重要な要素となる。今回の選考を詳しく見ていくと、日本代表が抱える危うさも浮き彫りになっており、決して看過できない2つの大きな課題が見えてくる。
果たして、この26人は目標達成に向けた“最適解”だったのか。ここでは、メンバー発表から浮かび上がった「2つの核心的な課題」について、詳しく論じていきたい。

本職不足のボランチ陣に残る不安
浮き彫りになった1つ目の課題は、チームの心臓部であるボランチの選手層の薄さである。今回の26人のメンバーリストで、本職のボランチとして選出されたのは、MF佐野海舟(1.FSVマインツ05)、MF田中碧(リーズ・ユナイテッド)、MF鎌田大地(クリスタル・パレス)、そしてキャプテンのMF遠藤航(リバプール)の4人のみ。W杯という過酷な短期決戦を戦い抜く上で、決して余裕のある人数とは言えない。グループステージではオランダやスウェーデンといった強豪国との激しいフィジカルバトルも予想され、中盤の消耗は避けられないだろう。
事態をさらに深刻にしているのは、遠藤のコンディション問題である。遠藤はまだ実戦復帰を果たしておらず、万全とは言い切れない状態のまま本大会を迎えることになる。日本代表スタッフが現地で入念なチェックを行ったとはいえ、W杯特有のハイインテンシティな試合を連続して戦い抜ける保証はない。つまり日本代表は、実質的に3人のボランチでグループステージを回さなければならない可能性を抱えているのである。
この問題に対し森保監督は会見で、センターバックを主戦場とするDF板倉滉(アヤックス・アムステルダム)やDF瀬古歩夢(ル・アーブルAC)をボランチとして起用するプランを示唆した。しかし、この“急造プラン”が世界の強豪相手に機能するかは未知数だ。確かに板倉は所属するアヤックスでボランチとして起用されることもあるが、完全に適応しているとは言い難い。瀬古も、フランスリーグで一時的にボランチとして輝きを見せたものの、直近ではセンターバック起用が主である。W杯という極限のプレッシャーがかかる大舞台で、本職ではない選手に中盤の舵取りや守備のフィルター役を託すのは、あまりにもリスクが高い采配だ。
だからこそ拭えないのが、「なぜMF守田英正(スポルティングCP)やMF藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)を招集しなかったのか」という疑問である。特に守田の落選には驚きの声も少なくない。所属するスポルティングでは高いパフォーマンスを維持しており、チャンピオンズリーグのアーセナル戦ではデュエル勝率で全体2位タイという優秀な数字を残している。さらに、レアル・マドリードがリストアップしているとの報道もあり、現在ヨーロッパで高い評価を受ける日本人ボランチの一人である。
また、藤田もスタッツ面で優れた数字を残しており、中盤にダイナミズムをもたらす貴重な戦力である。彼らのような実力とコンディションを兼ね備えた本職のボランチを外してまで、怪我を抱える選手や別ポジションの選手でやりくりしようとする判断が、W杯本番でどのような結果を招くのか。森保監督の決断は、大会の行方を左右する大きなポイントになりそうだ。
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