Jリーグ

百年構想リーグで5監督が退任。長野・今治・磐田・浦和・徳島の事情

志垣良監督(左)マチェイ・スコルジャ監督(右)写真:アフロスポーツ

2026年2月に開幕したJリーグ百年構想リーグがいよいよ佳境を迎えている。地域リーグラウンドは5月24日に終了し、5月30日からプレーオフラウンドが始まる。

同リーグはJ1の20クラブが東西に、J2・J3計40クラブは4つのグループに分かれて戦うという、今後行われないであろう特別な大会形式で、昇降格がない点、90分終了時点で同点ならばPK戦が行われる“完全決着ルール”も特徴だ。降格がないことで、監督人事の動きは少ないだろうと予想されていたが、成績不振などを理由に既に5人の監督が退任した。

監督交代を決断した5クラブは、8月に開幕する秋春制の2026/27シーズンを見据え、早期の体制変更に踏み切ったとみられる。ここでは、元監督の退任に至った背景や事情を整理した上で、深層を追及したい。


長野パルセイロ(J3):藤本主税監督が3月31日退任、後任は小林伸二監督

開幕8連敗、今季未勝利。13連敗で迎えた限界

長野パルセイロは3月31日、藤本主税監督との契約を3月30日付で解除したと発表し、後任には栃木SC前監督の小林伸二氏が就任した。

藤本監督は2025シーズンから指揮を執り、初のトップチーム監督として1年目はJ3で19位と大苦戦。何とか続投したが、百年構想リーグEAST-Bでは開幕8連敗(PK戦負け含む)で勝ち点2と最下位に低迷。昨季終盤から数えると13連敗という不名誉な記録を残し、今季未勝利のままクラブを去った。クラブは、西山哲平SD(スポーツダイレクター)名で「監督交代が最善であると判断」とし、さらに澁谷泰宏代表取締役社長名で「不甲斐ない成績により大きな失望を与えてしまった」とファンに謝罪した。

藤本監督は「1年3か月という短い時間ではありましたが、自分なりに試行錯誤しながら努力して参りました。しかし、力及ばず、皆様の期待に応えることができませんでした」とコメント。昇格請負人の異名を取る小林監督の就任により、残り試合、および2026/27シーズンの巻き返しを図る狙いが見て取れる。百年構想リーグ初の監督交代となった。


FC今治(J2):倉石圭二監督が4月8日退任、後任は塚田雄二監督

チーム総得点わずか5。得点力不足が命取りに

FC今治は4月8日、倉石圭二監督の退任を発表。後任の塚田雄二監督(ホームグロウングループ・レディースグループ執行役員)が百年構想リーグ終了まで指揮するという。

倉石監督は2025シーズンに就任。J2で11位となったが、百年構想リーグWEST-Aでは第9節終了時点で3勝6敗(PK戦1勝1敗)勝ち点9と9位まで順位を落とした。特に攻撃面では、V・ファーレン長崎から獲得したブラジル人FWエジガル・ジュニオを生かせずに、チーム総得点が「5」と得点力不足が課題だった。愛媛FCとの“伊予決戦”の敗戦も重なり、クラブは監督交代を決断した。

倉石監督は「このたびの結果を受け、監督を退任することとなりました。志半ばでこのチームを離れることになり、悔しさと無念さで言葉になりません。すべては私の力不足です」とコメント。ファンへの感謝を述べ、「このクラブには、必ずもっと大きな未来があります」とエールを送った。43歳の若手監督として経験を積んだ今治での2年目で、結果責任を問われる形となったが、まだ先のある指揮官であり、タイミングさえ合えば、捲土重来のチャンスが巡ってくるだろう。


志垣良監督 写真:アフロスポーツ

ジュビロ磐田(J2):志垣良監督が4月22日退任、後任は三浦文丈監督

攻守崩壊、若手も育たず。2季目での幕引き

5月12日、ジュビロ磐田が志垣良監督との契約を双方合意の上解除したと発表。後任にはOBとして、同クラブの黄金時代を知るトップチームコーチの三浦文丈氏が百年構想リーグ終了まで暫定監督として指揮を執ることになった。

志垣監督は2025シーズンに就任し、J2で中位を維持したものの、百年構想リーグEAST-Bでは開幕から得点力不足と守備の不安定さが目立ち、第11節終了時点で2勝5敗(PK戦3勝1敗)の勝ち点9で8位に低迷。攻撃では新加入選手のフィットに苦戦し、守備ではセットプレーからの失点が続いた。若手選手の起用を積極的に行っていたが、結果に結びつかず、チームの完成度が上がらない状況が続いた。

クラブは「チームの方向性と現体制の間に乖離が生じ、2026/27シーズンに向けて刷新が必要と判断した」と説明。志垣監督は「選手たちと共に挑戦した日々は私の財産です。しかし、期待に応えきれなかったことは悔やまれます。磐田の未来にエールを送ります」とコメントを残した。

後任の三浦文丈暫定監督は、選手目線でのコミュニケーションと、磐田らしい攻撃的なスタイルの再構築が期待されており、就任直後の試合では守備の整理とカウンターの鋭さが見られるなど、短期的には効果を発揮しているとの声もある。百年構想リーグ終了後に正式監督として残留する可能性も取り沙汰されている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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