
長谷川健太監督
歴代最多試合数を誇る現実主義者、トルコ・ギリシャに適性
長谷川健太監督(現在フリー)は、選手としてもスター街道を歩み、監督としてはJ1通算試合数歴代最多、勝利数歴代2位の実績を持つ。清水エスパルスを皮切りに、G大阪、FC東京、名古屋グランパスで監督を歴任。2013シーズン、当時J2に降格していたG大阪では1年でJ2優勝・J1復帰を成し遂げ、翌2014シーズンには3冠(J1・天皇杯・Jリーグ杯)達成という快挙を演じた。
現役時代の豪胆なプレーぶりとはイメージと異なる現実主義者で、堅守速攻を志向する指揮官だ。アグレッシブな守備から素早いカウンターを重視する戦術を基本としている。
そんな長谷川監督には、トルコやギリシャといったインテンシティーが求められるリーグが適合しそうだ。これらのリーグはテクニックとフィジカルのバランスが求められ、同監督の現実的なアプローチが機能する可能性がある。クラブによってはサポーターからのプレッシャーも大きいリーグだが、経験豊富な長谷川監督のマネジメント力が生きるだろう。
Jリーグで、長きにわたり4クラブを指導した経験が安定感を与え、欧州5大リーグに続く“二番手”のリーグでは即戦力として期待できる。成功の可能性は高いと思われるが、60歳での初海外挑戦が唯一のハードルとなるだろう。

手倉森誠監督
育成型ブンデス2部で花開く若手登用の手腕
手倉森誠監督(ヴィッセル神戸U-21)は、ベガルタ仙台とV・ファーレン長崎で監督を務め、U-23日本代表監督として2016年のリオ五輪を経験した。国際舞台での指導実績が豊富だ。20代で現役引退し、指導者に転身したため、1967年生まれの58歳ながらも経歴的には十分だろう。
2022年にはタイのBGパトゥム・ユナイテッドを率い、2022年のACLではクラブ初のベスト8に導き、2023年には、同じくタイのチョンブリーFCを指揮。2025年にはベトナムのハノイFCの監督を務めた。
選手育成とフィジカル強化に強みを持ち、若手中心のチームをまとめる手腕がある。仙台監督時の2011年には東日本大震災を経験したことから、復興支援などの社会貢献活動にも積極的だ。
手倉森監督は、ブンデスリーガ2部が合うイメージだ。若手登用が多く、フィジカル重視のスタイルがマッチしやすい点がその理由である。2部といえど、観客動員では平均約28,000人の観客を動員し、スペインのラ・リーガ(平均約28,800人)にはやや劣るが、フランスのリーグ・アン(平均約26,000人)よりも多い。
育成重視のクラブで同監督の能力が発揮されやすく、成功の可能性はそこに掛かっている。日本U-23代表監督や複数のJクラブ、東南アジアでの経験が、欧州クラブの興味につながるだろう。

黒田剛監督
「負けないサッカー」はEFLチャンピオンシップで通用するか
まだ56歳の黒田剛監督(町田ゼルビア)は、青森山田高校で1995年から2022年まで28年間もの長きにわたり監督を務め、全国高校サッカー選手権3回優勝など高校サッカー界で圧倒的な実績を残した。2023年に、当時J2の町田の監督に就任し、1年目でJ2優勝・J1昇格を果たした。
特徴は徹底したリアリズムと「負けないサッカー」だ。球際の強さ、ロングスローを多用するセットプレーの多彩さ、明確な目標設定、短期間でチームを変える指導力を併せ持っている。勝率を最大化させるための現実的な戦術構築が持ち味で、これまでの日本人指導者には少なかったタイプだ。
選手への不適切な言動でJリーグからけん責処分を受けた経緯があるため、JFAによる適格性確認が重要となるだろう。欧州では監督と選手の関係がより対等であり、ハラスメントに対する基準も厳しい。文化適応とコミュニケーションに対する自覚の変化が、成否の鍵を握るとみられる。
黒田監督にはイングランド2部のEFLチャンピオンシップが適する可能性がある。同リーグはフィジカルとメンタルのタフネスさが求められ、黒田監督の「負けない」姿勢が激しい昇格争いの中で生きやすいからだ。セットプレーのバリエーション、高校監督時代からの指導経験も生きるだろう。
就任から間もないプロ監督経験ながら、町田での急激なチーム革新が欧州で注目を集める可能性がある。成功の可能性は、守備組織とセットプレーを武器とするクラブで高いだろう。ただ、過去の発言や指導方法に関する処分歴があるため、JFAによる適格性確認の末「不適格」とされる可能性もわずかながらあるため注意が必要だ。
欧州挑戦への課題、鍵を握るのは文化適応とネットワーク構築
ライセンス相互承認は、日本人指揮官にとっては新たなスタートラインに過ぎない。欧州適応のためには、現地文化理解や語学力、ネットワーク構築が不可欠だ。ベルギーのシント=トロイデンVVのような日系企業が関わるクラブを足掛かりとするケースも想定される。
以上の5人は、それぞれ異なる強みを持つ。日本人監督が欧州のリーグで成功すれば、5大リーグへの道も開ける可能性がある。JFAの取り組みが、日本サッカー界の国際化をさらに加速させるだろう。
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