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日本人監督5人はどの欧州リーグで輝くか。ライセンス相互承認で海外挑戦の現実味

西野朗監督(左)森保一監督(中)手倉森誠監督(右)写真:アフロスポーツ

日本サッカー協会(JFA)は今年5月27日、欧州サッカー連盟(UEFA)とアジアサッカー連盟(AFC)による指導者ライセンスの相互承認締結を発表した。この合意は、日本人指導者の欧州挑戦の環境を大きく変えるものとなる。

これまでは、各国ごとの指導者育成体系の違いが壁となり、日本人指導者が欧州で監督を務めるにはUEFA発行のライセンス取得が必須だったが、これによりJFA Proライセンス保持者は、UEFA Proライセンスを新たに取得せずに欧州各国リーグの監督・コーチ職に就ける可能性が開けた。

いきなり欧州5大リーグ(プレミアリーグ、ブンデスリーガ、ラ・リーガ、セリエA、リーグ・アン)のクラブからオファーが来ることは現実的には考えにくいものの、これらに次ぐレベルのリーグであれば、日本人監督が活躍する可能性が現実味を帯びてきた。

ここでは、森保一日本代表監督、現在フリーの西野朗監督、長谷川健太監督、このほどヴィッセル神戸U-21に就任した手倉森誠監督、さらには2026/27シーズンを終えれば「J1で3シーズン以上の指揮」の必須条件をクリアする町田ゼルビアの黒田剛監督を候補として取り上げ、それぞれの実績やマッチしそうなリーグとその特性、成功の可能性について考察したい。


森保一監督(写真左)と宮本恒靖会長(写真右) 写真:アフロスポーツ

ライセンス相互承認の意義

今回の合意の裏には、2014年、当時Jリーグ特任理事だった現JFA会長の宮本恒靖氏自身の苦い経験がある。宮本氏は、日本でA級・S級ライセンスの取得を進める一方、欧州では最上位を目指すつもりが「まずは欧州でB級ライセンスから受けてくれと言われた。その時は全く互換性が認められていなかった」とメディアのインタビュー等で度々振り返っている。

宮本氏の尽力もあり、JFA ProライセンスとUEFAライセンスの相互承認が叶ったものの、「J1で3シーズン以上の指揮」または「A代表での指揮経験」といった一定の条件が課される見通しだという。日本側では約60人がこの条件を満たすと言われている。さらに、オファーがあれば、JFAで資格があるかどうかを諮問した上で、ライセンスを出すという。この変更は、2010年頃からJFAが求めてきた成果であり、指導者の国際的な流動性を高めるだろう。

欧州における“二番手”のリーグは、5大リーグほど資金力や選手の質では劣るが、競争は激しく、選手育成に長け、戦術構築力も問われるリーグであり、日本人指導者の組織マネジメントが生きやすい環境でもある。


森保一監督 写真:アフロスポーツ

森保一監督

エールディビジで生きる「非カリスマ型」マネジメント

日本代表の森保一監督は、サンフレッチェ広島で2012年から2017年にかけJ1リーグで3度の優勝を果たした。日本代表監督としては2018年から指揮を執り、U-23代表も兼任して東京五輪ではベスト4に進出した。57歳にして、世界の一流監督と互せる実績を持つ。

特徴は「マネジメント型」の監督像だ。コーチ陣と役割を分担し、各選手がクラブで務めている戦術を取り入れつつ日本代表の戦術を構築する柔軟性がある。カリスマ性ではやや劣る分、フラットな関係性で選手との関係性を高めるチーム作りを得意とする。

リーグでは、エールディビジ(オランダ1部)の適性が高い可能性がある。オランダは戦術とフィジカルがバランス良く重視され、若手育成に関しても一日の長がある。昇格・残留争いも激しく、森保監督の広島時代のような組織力発揮が期待できるのではないか。

W杯(FIFAワールドカップ)北中米大会のグループリーグ第1戦、オランダ対日本の試合(2-2/6月15日/ダラス・スタジアム)では、日本がオランダを大いに苦しめたことで評価がさらに高まり、エールディビジのクラブが関心を示す可能性も出てくるだろう。

日本代表監督として8年間の経験が強みで、クラブ監督としても広島で長期政権を築いた。日本代表監督の1年契約延長オファーを受けているという報道もあり、欧州への適応には時間が必要で、かつ語学力という課題もあるが、その辺りをクリア出来れば、成功の可能性は高いのではないだろうか。


西野朗監督 写真:アフロスポーツ

西野朗監督

270勝の実績と「超攻撃」志向が生きるリーグとは

西野朗監督(現在フリー)は、Jリーグ歴代1位の通算勝利数(270勝)を誇る。その名を世に知らしめたのは、U-23日本代表監督としてブラジル代表を破る大番狂わせを演じた1996年のアトランタ五輪だろう(2勝1敗ながらも得失点差でグループリーグ敗退)。

ガンバ大阪では2008年にACL(AFCチャンピオンズリーグ)優勝を果たし、2018年ロシアW杯では、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の突然の解任による急な就任だったにもかかわらず、フェアプレーポイント差で日本代表を決勝トーナメント進出に導いた。退任後は、タイ代表(U-23含む)監督に招聘された(2019-2021)。

G大阪時代は攻撃的スタイルを貫き、「2点取られても3点取る」チーム作りを志向。組織を勝てる集団に変える手腕には定評がある。

そんな西野監督には、スペイン2部やイタリア2部のセリエBが候補となる。スペイン2部はテクニック重視で攻撃サッカーを志向するクラブが多く、セリエBも戦術レベルは高い。そして両リーグとも、順位決定方式として、勝ち点に次ぐのが得失点差ではなく、「当該チーム間の直接対決の成績」で決まることで、例え相手が格上でも大敗覚悟で猛攻を仕掛けることもしばしば。西野監督の志向が生きるリーグと言えそうだ。

Jリーグでの豊富な実績とW杯での成功体験が、野心ある欧州の新興クラブにはアピールしやすく、成功の可能性は比較的高いと見込まれる。ただ、71歳という年齢がネックで、長期政権は難しいかも知れない。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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