
町田ゼルビア所属MF高崎天史郎が、ブラジル1部グレミオへ期限付き移籍する模様。ロナウジーニョやレナト・ガウーショを育て、現在はペルー代表MFエリック・ノリエガ(元町田、清水エスパルス)を擁する南米屈指の名門が、今度は20歳の日本人選手を獲りにきた。
ブラジルメディア『Globo』が4月20日に報じた内容は、単なる育成移籍の話に収まらない。高崎は2026年末までの期限付き移籍でグレミオのU-20チームに加入。すでにCTエリオ・ドウラードで新チームメイトとともにトレーニングを開始しており、国際移籍ウインドウ解禁後の公式デビューを待つのみの状態だという。
左利きの攻撃的MFで大阪府出身。昨季はSHIBUYA CITY FCへの育成型レンタルを経て復帰したばかりだった。J1での出場機会を掴み切れていない段階での南米挑戦——それも、いきなり1部クラブのアカデミーへというルートは、前例に乏しい。
適応面への懸念を見越してか、グレミオ側は異例ともいえる手厚いサポート体制を敷いている。『ge』の報道にはこう記されている。「ブラジルでの生活への適応を加速させるため、クラブは環境面および教育面でのサポートを提供している。英語の授業が用意されているほか、ポルトガル語の講師も手配される予定である。さらに、最初の数週間は日本語に堪能なスタッフの代表者が現地で帯同し、サポートを行っている」
ここまでの配慮は、単に「有望な若手を一人獲った」だけでは説明がつかない。
むしろ注目すべきは、この移籍が持つ「外交的な意味合い」だ。『ge』はグレミオと町田の提携関係が今後本格化する可能性を示唆。町田がブラジルにパートナークラブを求めているという文脈で、今回のディールを位置付けている。グレミオは1990年代に川崎フロンターレとの関係を持った実績もある。日本との”パイプ”を再び太くしようという動きが、水面下で進んでいるとすれば、高崎はその「第一号」に過ぎないことになる。
また、グレミオには現在ノリエガも在籍している。愛知県生まれで町田でのプレー経験もある24歳。『ge』は「ノリエガは高崎にとってのロールモデルになる」と伝えており、クラブ側が日本人選手の受け入れに慣れた環境を整えつつあることも見逃せない。
だが、冷静に問い直す必要もある。グレミオのU-20カテゴリーは育成の場であり、トップチームへの昇格は茨の道だ。ポルトガル語も満足に話せない状態で、南米特有のスタイルに順応できるか。「環境面のサポートは充実」と報じられてはいるが、ピッチ上の現実はサポート体制とは別の次元で高崎に牙をむくかもしれない。
町田にとっても、この移籍が「育成の成功例」として語られるか、あるいは「若手放出の失策」として記録されるかは、まだ誰にも分からない。グレミオとの提携話が先行し、選手が”交渉の材料”として消耗するリスクは、拭えないまま残っている。いずれにせよ、高崎のパフォーマンスが、両クラブの提携の可能性を左右しそうだ。
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