
アヤックス所属のFIFAワールドカップ北中米大会日本代表候補DF板倉滉は、DF冨安健洋と同じく今夏移籍がほぼ確実である模様。移籍先にはボルシアMGが浮上しているが、DF高井幸大の去就問題や同クラブの財政状況が絡んできそうだ。
オランダ『フットボール・トランスファーズ』は1日、アヤックス守備陣について「最も大きな整理が予定されている」と断言。板倉をヨシプ・シュタロとともに「退団が既定路線」と位置付けた。契約は2029年夏まで残っているものの、それが「残留保証」にならないのが今のアヤックスの実情だ。
背景には、ポジション問題という深刻な亀裂がある。
ボルシアMG時代にセンターバックの主力として公式戦80試合・7ゴールを記録した板倉だが、アヤックスでは一時アンカーへのコンバートを強いられた。オランダ『サッカーニュース』は今年1月、「板倉はアンカーで完全に迷子になっていた」と容赦なく切り捨て、さらに『VI』は「起用法を巡り監督に意見をぶつけた」と報じた。フロントとの対立が表面化し、2月初旬からは背中の負傷で戦列を離脱。4月にようやく復帰したが、アヤックスでの公式戦出場は16試合にとどまる。W杯イヤーに本職外のポジションで消耗させられ続けた29歳に、残された選択肢は限られている。
古巣復帰の機運は冬の移籍市場から続いていた。ドイツ『キッカー』によれば、ボルシアMGのスポーツ責任者ルーヴェン・シュレーダーSDが冬にも板倉獲得を試みていたが、「様々な理由」で破談に終わっている。推定移籍金は1000万ユーロ(約18億円)。グラートバッハのファンが復帰を望む声もネット上に噴出しているが、この数字がいかに重くのしかかるか——クラブの懐事情を知れば、楽観論は一気に吹き飛ぶ。
問題は金だ。
ドイツ『SPORT BILD』が報じたボルシアMGの今夏補強予算は「わずか500万ユーロ(約9億2,000万円)」。RBライプツィヒからロッコ・ライツを獲得した際の移籍金2000万ユーロの大半が財政再建に消え、シュレーダーSDは事実上、身動きが取れない状態に置かれているという。
この財政難は板倉問題にとどまらない。現在、トッテナム・ホットスパーからボルシアMGへ期限付き移籍中の日本代表候補DF高井幸大の去就にも直撃している。高井はブンデスリーガで主力センターバックとして評価を積み上げてきたが、その買取オプションは900万ユーロ(約16億5,000万円)。500万ユーロの補強枠しか持たないクラブにとって、「検討すら困難な数字」であることは明白だ。ドイツ『RP』によればレンタル延長という迂回策も模索されているが、それすら財政的に成立するかどうかは不透明とされる。
つまり現状、板倉と高井——2人の日本人センターバックの去就が、500万ユーロという”超緊縮予算”の前で同時に宙吊りになっているわけだ。
仮にボルシアMGが板倉の獲得を本気で目指すなら、売却や移籍金の分割払いなど、相当な「交渉の妙」が求められる。アヤックスとの契約期間を踏まえると、期限付き移籍による古巣復帰というシナリオも考えられるが、いずれにせよ同じくセンターバックである高井の去就も影響を与えそうだ。
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