
国際サッカー連盟(FIFA)の関連調査機関である「CIESフットボール・オブザーバトリー(スポーツ国際研究センター)」は2026年4月18日、J1百年構想リーグ所属クラブでプレーする23歳以下の選手のパフォーマンスランキングを発表。同機関独自のIMPACT指標をベースに直近6か月のデータを解析した結果、1位にサンフレッチェ広島の鈴木章斗(評価値73.7)、2位に川崎フロンターレの松長根悠仁(70.6)がつづき、3位には京都サンガのMFユン・ソンジュン(70.1)が食い込んだ。
4位の佐藤龍之介(FC東京、69.2)、5位の溝口修平(鹿島アントラーズ、69.0)、6位の石渡ネルソン(セレッソ大阪、68.8)と、上位陣は所属クラブの看板を背負う若手が並ぶ。7位以下は工藤孝太(ファジアーノ岡山、68.6)、山根陸(横浜F・マリノス、67.1)、宇野禅斗(清水エスパルス、66.7)、中野伸哉(ガンバ大阪、66.4)となっている。
本ランキングで最も衝撃的なのが、3位のユン・ソンジュンである。京都の下部組織出身、大阪生まれ19歳の元U18韓国代表MFは、2026年シーズンの1試合平均タックル数「3.2回」でリーグトップに立ち、CIES評価値70.1を叩き出した。その台頭が本格化したのは、2025年夏にMF川﨑颯太がマインツへ完全移籍して以降のこと。先輩の去った穴を埋めたのではなく、完全に自分のポジションを奪いにいった。
日本サッカー協会(JFA)が動いたのは必然だった。遠藤航(リバプール)、佐野海舟(マインツ)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)と、機動力と対人守備の強度を併せ持つ守備的MFを重用してきた森保体制において、ユン・ソンジュンは「第2の遠藤航」と映った。JFAは京都を通じて本人に接触。帰化手続きは来月4日の19歳の誕生日を迎えた後に本格化する見通しで、認められればロサンゼルス五輪(2028年)のU23日本代表入りも視野に入れるという。
問題は、その決断に至るまでの背景だ。
2025年4月、ユンは初めてU18韓国代表のトレーニングキャンプに参加した。だが、そこで感じたのは違和感だった。大阪生まれで日本の学校に通い続けた彼は韓国語が十分に話せず、「コミュニケーションに苦労した」と振り返っている。言語の壁だけではない。相手ラインとの間でボールを受けてリズムを作る、京都の下部組織で体に染み込んだプレーモデルは、韓国のスタイルとは明確に乖離していた。「スペースに入ってもパスが来ない」。その10日間で得た確信は「自分のサッカーには日本の方が合っている」というものだった。極めてシンプルで、だからこそ覆しようのない結論だ。
韓国メディア『スポーツ朝鮮』はこの経緯と内情を詳報。京都OBで2011年アジアカップ決勝のヒーローである李忠成氏は「自分と同じ道を歩む後輩がいることは嬉しい」とユンの決断を支持した。一方で韓国国内には「裏切り」の声が根強い。関係者は同メディアの取材に「日本はイングランド戦でも中盤の強いプレッシングで主導権を渡さなかった。ユンの流出は才能の損失だが、過去を悔やむより新たなMFの発掘と育成に力を注ぐべきだ」と反論しているが、感情論が収まる気配はない。
Jリーグが誇る若手選手には、今後のさらなる成長が期待されるが、果たして「第2の遠藤航」と評されるユン・ソンジュンが、将来日本代表争いに割って入ることはあるのだろうか。
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