
FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会グループリーグが6月28日(日本時間)に終了した。オイルマネーを背景に欧州のスター選手を大量獲得してきた中東リーグ勢だが、今大会のグループリーグでその実態が白日のもとにさらされている。
ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)ら超高額年俸選手が、クラブでは結果を残しながらも国際舞台では軒並み低調なパフォーマンスである一方、MLSのインテル・マイアミに所属するアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが39歳にして初のW杯ハットトリックを含む圧倒的な活躍を見せたことで、両者の明暗はより際立っている。
ここでは、中東リーグ所属選手のW杯グループリーグでの活躍と数字を検証しながら、巨額投資と競技力の乖離という構造的な問題を考察する。
中東リーグ所属選手、得点はわずか11人
全104試合を戦う今大会、グループリーグ72試合を消化した時点で、中東の主要リーグ(サウジアラビア・プロフェッショナルリーグ、カタール・スターズリーグ、UAEプロリーグ、イラン・ペルシアン・ガルフ・プロリーグ、イラク・プレミアリーグ)所属選手のうち、得点を記録したのは以下の11人。うち4人は高額年俸の外国籍選手だ。
- イラン代表MFラミン・レザイーアン(フーラード):
第1節6月16日ニュージーランド戦(2-2)で1得点、第3節6月27日エジプト戦(1-1)で1得点 - イラク代表FWアイメン・フセイン(アル・クウワ・アル・ジャウウィーヤ):
第1節6月17日ノルウェー戦(1-4)で1得点 - ヨルダン代表FWアリ・オルワン(アル・スィーリーヤ):
第1節6月17日オーストリア戦(1-3)で1得点 - サウジアラビア代表DFアブドゥレラー・アルアムリ(アル・ナスル):
第1節6月16日ウルグアイ戦(1-1)で1得点 - ヨルダン代表MFニザル・アルラシュダン(カタール):
第2節6月23日アルジェリア戦(1-2)で1得点 - カタール代表FWハッサン・アルハイドス(アル・サッド):
第3節6月25日ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1-3)で1得点 - モロッコ代表FWソフィアン・ラヒミ(アル・アイン):
第3節6月25日ハイチ戦(4-2)で1得点
以下は高額年俸の外国籍選手
- コートジボワール代表MFフランク・ケシエ(アル・アハリ)年俸約1,596万ドル(約23億1000万円):
第2節6月21日ドイツ戦(1-2)で1得点 - メキシコ代表FWフリアン・キニョーネス(アル・カーディシーヤ)年俸約580万ドル(約9億3,800万円):
第1節6月12日南アフリカ戦(2-0)で1得点、第3節6月25日チェコ戦(3-0)で1得点 - ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)年俸約2億3,500万ドル(約376億円):
第2節6月23日ウズベキスタン戦(5-0)で2得点 - アルジェリア代表FWリヤド・マフレズ(アル・アハリ)=年俸約5,900万ドル(約96億2,000万円):
第3節6月28日オーストリア戦(3-3)で2得点
他では、I組3位(1勝2敗)ながらも薄氷の決勝トーナメント進出を決めたセネガル代表FWサディオ・マネ(アル・ナスル/年俸約5,400万ドル/約87億3,000万円)は、グループリーグでは不発に終わっている。
中東のなかでもサウジ・プロリーグは、特に欧州トップリーグ出身のスター選手を大量に獲得してきた。超高額契約の選手が名を連ね、リーグのW杯選手供給数では欧州5大リーグに次ぐレベルと言っていいだろう。しかし、現時点ではリーグでの成果を国際舞台でほとんど発揮できていない。
この結果は、サウジやカタールなどの中東リーグが、巨額投資で集められた超一流選手にとって、競技力向上やそのパフォーマンスを発揮する場ではなく、むしろ“墓場”となりつつあることを示唆している。特に、副収入を合わせると年収3億ドル(約477億円)と米『フォーブス』誌に報じられたC・ロナウドのような世界的スター選手の、年収に見合わないパフォーマンスが、その深刻さを浮き彫りにしている。

C・ロナウドとメッシ、明暗を分けたもの
C・ロナウド自身、2025/26シーズンにアル・ナスルで30試合28得点という記録を残し、リーグ優勝に貢献したものの、W杯グループリーグ初戦(6月18日)のコンゴ民主共和国戦(1-1)では25タッチで枠内シュート0本という低調な内容に終わり“限界説”が噴出した。2戦目(6月24日)のウズベキスタン戦(5-0)で2得点、史上初の6大会連続得点を記録し、復活を印象付けたが、3戦目(6月28日)のコロンビア戦(0-0)でも不発に終わり、ポルトガルはK組2位通過となった。
この試合にはウズベキスタン戦に続き、同じくアル・ナスルに所属するFWジョアン・フェリックスも先発出場したが、ほとんど見せ場を作れないまま、途中交代となっている。
対照的に、キャリアの中で比較され続けてきたアルゼンチン代表のメッシは、初戦のアルジェリア戦(6月17日/3-0)でW杯自身初のハットトリックを達成し、第2戦のオーストリア戦(6月23日/2-0)でも2得点、第3戦のヨルダン戦(6月28日/3-1)でもFKを決め、前回大会から続くW杯史上初の7試合連続得点を記録するなど、39歳にして衰え知らずの活躍を見せている。
他のスター選手も同様の傾向が見られる。クラブでは得点を量産しても、W杯では中東リーグ所属選手全体の得点が少なく、期待を大きく下回っているようだ。この事実は、リーグの競争力やトレーニング環境、試合そのものの質が欧州に比べて劣り、選手の技術や体力、モチベーション維持を困難にしていることを示してはいないだろうか。
コメントランキング