ワールドカップ 日本代表

W杯サプライズ招集劇5選。アロハシャツからハットトリックまで

ニクラス・フュルクルク 写真:アフロスポーツ

ニクラス・フュルクルク(ドイツ代表FW/2022カタール大会/当時ヴェルダー・ブレーメン)

29歳の遅咲きストライカーが与えた衝撃

2022年カタールW杯ドイツ代表で、FWニクラス・フュルクルクはまさに“サプライズ招集”の象徴だった。2021/22シーズン19得点を挙げてブレーメンの1部昇格を牽引し、翌シーズンも活躍していたものの、ドイツ代表初招集はW杯本番直前。29歳という年齢もあって、現地メディアからもほとんど予想されていなかった選手の一人だった。

開幕前の親善試合オマーン戦で代表デビューし、いきなり得点を記録。本大会での初戦の日本代表戦では、堂安の同点弾を喫した直後に途中出場し、W杯デビュー(その後、浅野拓磨の逆転ゴールによりチームは敗戦)。2戦目のスペイン代表戦でも途中出場し、後半38分に同点ゴールを決めた。

フィジカルを生かしたポストプレーと決定力で、若手中心のチームに経験と安定感をもたらした好例と言える。チームはグループステージ敗退に終わったが、2024年、自国開催の欧州選手権でも代表に選出され2得点を記録、遅咲きながら大舞台で存在感を示した。


パオロ・ロッシ(イタリア代表FW/1982スペイン大会/当時ユベントス移籍直後)

自身への批判を実力で払拭したストライカー

1982年W杯スペイン大会でイタリアの英雄となったFWパオロ・ロッシの招集劇は実にドラマチックだ。自身が関与した賭博スキャンダルによる2年間の出場停止処分が大会直前にようやく解除され、実戦から長く離れていた彼がメンバーに復帰。批判の声が多かった中、得点王(6ゴール)に輝き、イタリアを優勝に導いた。

1次リーグではなかなか本調子を取り戻せずに精彩を欠いていたが、2次リーグのブラジル戦でハットトリックを記録し覚醒。決勝トーナメントでも準決勝のポーランド戦で2ゴール、決勝の西ドイツ戦でも先制点を挙げた。ゴールデンボール(大会MVP)も受賞したロッシの活躍は、サプライズ招集の成功例として現在も語り継がれている。


茂庭照幸 写真:アフロスポーツ

茂庭照幸(日本代表DF/2006ドイツ大会/当時FC東京)

日本中を爆笑させた“アロハシャツ会見”

日本代表史上、最も“本人もビックリ”のサプライズ招集と言えるのがDF茂庭照幸のケースだろう。2006年ドイツW杯の最終メンバーから落選し、ハワイでバカンスを楽しんでいたが、直前合宿で左足ハムストリング肉離れの負傷を負ったDF田中誠(当時ジュビロ磐田)の代役として招集された。帰国した茂庭は空港で待ち受けていた報道陣を前にアロハシャツ姿で登場。本大会直前の緊張感など微塵も感じさせず、日本中のサッカーファンを爆笑させた。

初戦のオーストラリア戦で、負傷したDF坪井慶介に代わり後半11分から途中出場したが、日本代表は終了寸前に逆転されたため、後半アディショナルタイムにFW大黒将志と交代。ジーコジャパンはグループステージ敗退したが、この一連の出来事は「日本一有名な途中交代」として語り継がれている。


サプライズ招集が生むドラマ

これらの例を見ると、W杯のメンバー変更は単なる「穴埋め」ではなく、新たな英雄を生むチャンスでもある。FIFAの規定により、限られたタイミングでしか入れ替えができないからこそ、招集された選手の責任とモチベーションは極限まで高くなる。

今大会でも、負傷による離脱とサプライズ招集のニュースが飛び交うかも知れない。フュルクルクやコロ・ムアニのように短期間でチームにフィットし、活躍するシンデレラストーリーが生まれる可能性もある。日本代表でも、5月15日の発表後に何が起こるか注目したい。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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