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2026W杯で見られない幻のベストイレブン。レバンドフスキ、ドンナルンマ…

ジャンルイジ・ドンナルンマ(左)ロベルト・レバンドフスキ(右)写真:アフロスポーツ

2026年FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会は、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催で史上最多の48チームが出場し、6月11日に開幕する。

ただし、この舞台に立てない一流選手も多数存在する。今大会の欧州予選では4回の優勝経験を持つイタリアが3大会連続の予選敗退を喫したほか、ポーランド、デンマーク、ハンガリーも涙をのんだ。アフリカではナイジェリア、カメルーンという伝統国も脱落。それぞれの代表チームに、世界的な名選手が名を連ねる。

ここでは、そんな「W杯に出られない国」の選手からGK1人、DF4人、MF4人、FW2人を選び、ベストイレブンを構成した。


ジャンルイジ・ドンナルンマ 写真:アフロスポーツ

GK:ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア代表)

欧州CL制覇も果たした世界最高峰の守護神

  • 所属クラブ:マンチェスター・シティ
  • 主なタイトル:UEFA EURO 2020優勝、ヤシン・トロフィー(2021年、2025年ノミネート)

1999年2月25日生まれの27歳。ミランの下部組織から育ち、2015年10月にセリエAデビューを果たした当時の年齢は16歳と242日。イタリア人GK史上最年少に近い衝撃的な登場だった。2021年夏にPSGへ移籍し、2024-25シーズンはリーグ・アン、クープ・ド・フランス、UEFAチャンピオンズリーグを含む4冠達成の立役者となった。同夏、マンチェスター・シティへ完全移籍し、自身初のプレミアリーグ挑戦を続けている。

イタリアは欧州予選プレーオフ決勝でボスニア・ヘルツェゴビナに1-1から突入したPK戦(1-4)で敗れ、3大会連続のW杯不出場という歴史的な汚名を刻んだ。4回のW杯優勝を誇る名門国の失墜は欧州中に衝撃を与えたが、ドンナルンマ個人の評価に傷はつかない。世界最高峰の守護神であることに変わりはない。


RSB:マッティ・キャッシュ(ポーランド代表)

フィジカルを生かした攻撃的な右SB

  • 所属クラブ:アストン・ビラ

1997年8月7日生まれの28歳。イングランド生まれながら、母方の血統からポーランド国籍を取得し2021年に代表デビュー。ノッティンガム・フォレストで頭角を現し、2020年9月にアストン・ビラへ移籍後は攻守のバランスが高く評価され、不動のレギュラーとして定着している。

ポーランドは欧州予選プレーオフ決勝でスウェーデンにアルバ・ヒュルクスのゴールにより88分に逆転されて2-3と敗退。仮に出場していれば、グループFで日本代表と同組になることが決定していただけに、見られないのが惜しい選手の1人だ。


ニコラ・ミレンコビッチ 写真:アフロスポーツ

CB:ニコラ・ミレンコビッチ(セルビア代表)

ビルドアップ能力も備えた安定感抜群のCB

  • 所属クラブ:ノッティンガム・フォレスト
  • 主なタイトル:セルビア年間最優秀選手(2025年)

195センチの恵まれた体格と空中戦の強さを武器とする28歳のセンターバック。パルチザン・ベオグラード(2015-17)からセリエAのフィオレンティーナ(2017-24)へ渡り、2024年からはプレミアリーグのノッティンガム・フォレストでプレーする。

ドラガン・ストイコビッチ監督率いるセルビアは欧州予選グループを3位で終え、プレーオフに進むことができなかった。脂の乗り切った28歳での本大会欠場は惜しいが、クラブでの残留争いにおいて奮闘を続けている。


CB:イリア・ザバルニー(ウクライナ代表)

まだ23歳。伸びしろも十分な次世代のCB

  • 所属クラブ:パリ・サンジェルマン

2002年9月1日生まれの23歳。ディナモ・キーウ(2019-23)、ボーンマス(2023-25)を経て、2025年8月に移籍金約6,300万ユーロ(約105億円)でパリ・サンジェルマン(PSG)に加入した。PSGクラブ史上初のウクライナ人選手として注目を集め、分厚い選手層の中でも一定の出場機会を確保している。スピードと対人守備の強さが特徴で、将来性は高い。

ウクライナは欧州予選プレーオフでスウェーデンに敗れて本大会出場を逃したが、2028年欧州選手権、2030年W杯(スペイン・ポルトガル・モロッコ共催)に向けてさらなる成長が期待できる逸材だ。


LSB:パトリック・ドルグ(デンマーク代表)

高い身体能力と万能性を持つ21歳

  • 所属クラブ:マンチェスター・ユナイテッド

2004年10月26日生まれの21歳。レッチェ(2023-25)での活躍を経て、2025年初頭にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。左サイドバック、ウイングバック、ウイングと幅広いポジションをこなし、プレミアリーグでも即座に存在感を示した。

デンマークは欧州予選プレーオフ決勝でチェコと2-2の末にPK戦(1-3)で敗れ、本大会出場を逃した。ドルグ自身はハムストリングの怪我でプレーオフに出場できなかった点も悔やまれる。まだ21歳であり、2028年の欧州選手権や次回W杯での活躍が楽しみな逸材だ。


サンドロ・トナーリ 写真:アフロスポーツ

DMF:サンドロ・トナーリ(イタリア代表)

ピルロとガットゥーゾの系譜を引く次世代の司令塔

  • 所属クラブ:ニューカッスル・ユナイテッド

2000年5月8日生まれの25歳。ブレシアの下部組織から育ち、2018/19シーズンにセリエBを制して一躍注目を浴びた。2020年にミランに加入(ローンを経て翌年完全移籍)し、2021/22シーズンのセリエA優勝に貢献。2023年には当時イタリア人選手史上最高額の移籍金(約6,000万ユーロ)でニューカッスルへ渡った。

タックルとパス精度の両面に優れた守備的MFであり、イタリア代表の「心臓」として重用されている。まだ25歳と若く、次回大会での巻き返しに向けて代表の鍵を握る存在だ。


DMF:モルテン・ヒュルマンド(デンマーク代表)

危機察知能力と高強度の守備でチームを牽引

  • 所属クラブ:スポルティングCP
  • 主なタイトル:ポルトガル・プリメイラリーガ優勝(2023/24、2024/25)

1999年6月25日生まれの26歳。コペンハーゲン育ちで、アドミラ・ヴァッカー(2018-21)、レッチェ(2021-23)を経て2023年にスポルティングCPへ移籍。元日本代表MF守田英正ともにスポルティングの中盤を支え、クラブのキャプテンも務める。読みの鋭さとリーダーシップで中盤を統率するタイプだ。

デンマーク代表でも主軸として予選を戦ったが、プレーオフでチェコに敗退。次回W杯時には30歳となるため、今大会を逃したことのダメージは大きい。夏の移籍市場では複数の欧州ビッグクラブから注目されている。


ドミニク・ソボスライ 写真:アフロスポーツ

AMF:ドミニク・ソボスライ(ハンガリー代表)

圧倒的な走力を誇る“ハンガリーの至宝”

  • 所属クラブ:リバプール

2000年10月25日生まれの25歳。ヴィデオトンFCの下部組織出身で、レッドブル・ザルツブルク(2017-21)、RBライプツィヒ(2021-23)を経て2023年にリバプールへ7,000万ユーロで移籍。フリーキックの精度とミドルシュートが武器で、ハンガリー代表のキャプテンも務める。

ハンガリーは欧州予選グループ3位に終わり、1986年メキシコ大会以来続くW杯不出場の連鎖を断ち切れなかった。ソボスライ個人は欧州トップクラスのタレントだが、古豪復活はまだ道半ばだ。


WG:ブライアン・ムベウモ(カメルーン代表)

爆発的なスピードと決定力で名門復活を後押しする右ウイング

  • 所属クラブ:マンチェスター・ユナイテッド

1999年8月7日生まれの26歳。フランス・アヴァロン出身で、父方がカメルーン人。トロワのアカデミーから育ち、Bチーム(2016-18)、トロワ(2018-19)を経て、2019年にブレントフォード(イングランド)へ移籍。6シーズンで242試合70ゴールという圧倒的な成績を残し、2025年7月にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍した。右ウイングを本職としつつFW・攻撃的MFでも起用される。

カメルーンはアフリカ予選プレーオフ準決勝でDRコンゴに0-1と惜敗し、本大会出場を逃した。次回大会時には30歳となるが、それまでにチームの顔として存在感をさらに増すはずだ。


ロベルト・レバンドフスキ 写真:アフロスポーツ

FW:ロベルト・レバンドフスキ(ポーランド代表)

説明不要の世界的得点王。その歩みに幕が下りるか

所属クラブ:バルセロナ
主なタイトル:ブンデスリーガ得点王7回、ラ・リーガ得点王(2022/23)、CLシーズン得点王(2019/20)、UEFA欧州年間最優秀選手(2019/20)など

ドルトムント(2010-14)、バイエルン・ミュンヘン(2014-22)、バルセロナ(2022-)で多くのタイトルを積み重ねてきた37歳のストライカー。ポーランド代表で通算89ゴールを記録する歴史的なエースだが、スウェーデンに2-3で敗れたプレーオフ決勝後、SNSに「Time to Say Goodbye」の楽曲とともにキャプテンマークを掲げた自身の写真を投稿し、代表引退を示唆。明言はしていないが、次回W杯時には41歳となるだけに事実上の代表ラストゲームとなった可能性が高い。バルセロナとの契約も今季末で満了予定で、クラブレベルでの去就も注目される。


FW:ビクター・オシムヘン(ナイジェリア代表)

リーグを問わず結果を残す爆発力抜群のストライカー

  • 所属クラブ:ガラタサライ
  • 主なタイトル:FIFA U-17ワールドカップ得点王(2015)、セリエA優勝・得点王・最優秀選手(2022/23)、アフリカ年間最優秀選手(2022/23)、トルコ・スュペル・リグ得点王(2023/24)

1998年12月29日生まれの27歳。ヴォルフスブルク(2017-19)では結果が出なかったが、シャルルロワ(2018-19、ローン)での躍進を経てリールへ。そこで一気にブレークし、2020年に約7,000万ユーロでナポリに移籍。2022-23シーズンにはナポリの33年ぶりのセリエA優勝に26ゴールで貢献し、自身も得点王に輝いた。2025年夏にガラタサライへ完全移籍し、現在もアフリカ最高峰のストライカーとして存在感を放っている。

ナイジェリアはアフリカ予選プレーオフ決勝でDRコンゴと1-1から突入したPK戦(3-4)で敗れW杯出場を逃した。27歳と働き盛りの今、W杯の舞台で見られないのはフットボールファンにとって大きな損失だ。


このイレブンに共通するのは、予選で涙をのんだ悔しさと、クラブでは世界トップレベルで結果を出し続けているという皮肉な対比だ。予選敗退という結果はもはや変えられないが、彼らのプレーは各クラブで今後も輝き続ける。W杯出場の難しさと、サッカーの奥深さを改めて実感させる11人だ。

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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