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チェルシー崩壊の理由とは?ロシニアー解任の真相と次期監督候補【プレミアリーグ】

リアム・ロシニアー監督 写真:アフロスポーツ

チェルシー(イングランド1部)の迷走が止まらない。2026年4月、リアム・ロシニアー監督は就任からわずか107日で解任の憂き目に遭った。トッド・ベーリー氏とクリアレイク・キャピタルが主導する「ブルーコ(BlueCo)」体制下において、同オーナーシップのもとで任命された監督としては最短の在任期間となった。

かつてジョゼ・モウリーニョが2007年にスタンフォード・ブリッジでの最初の任期を終えて以降、このクラブで3年以上指揮を執った監督は存在しない。ロシニアー政権はなぜ崩壊したのか。その舞台裏に何があったのか。そして泥沼に陥るチェルシーを再建へ導く次期監督候補とは。その実像に迫る。


マレスカの幻影と分裂したロッカールーム

ロシニアーが直面した最大の障壁は、前任者であるエンツォ・マレスカの突然の退任だった。新年早々にクラブを去ったマレスカは、表向きには「契約解除」と発表されたものの、実態はマンチェスター・シティの関心を背景にした“ウォークアウト”に近い形での離脱だったとみられている。昨シーズンにUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得し、UEFAカンファレンスリーグとFIFAクラブワールドカップを制覇していた指揮官の退任は、彼を慕う選手たちに大きなショックを与えた。特にスペイン語圏の選手たちとの結びつきは強く、DFマルク・ククレジャやMFエンソ・フェルナンデスといった主力が、クラブの決定に対して公然と不満や疑問を示す事態に発展した。

その後任として就任したロシニアーは、最初の11試合で8勝を挙げる好スタートを切ったものの、チーム内には当初から不協和音が漂っていたとされる。選手たちは監督の戦術的意図を十分に理解できず、マレスカやマウリシオ・ポチェッティーノ体制時と比較してトレーニングの質が低下したと感じる者も少なくなかった。ロシニアーは「戦術家というよりモチベーター」と評価されていたが、過密日程のなかで自身の戦術を浸透させる時間は限られていたのである。


崩壊へのカウントダウンとピッチ外の混乱

ピッチ上での崩壊は劇的だった。3月5日のアストン・ビラ戦での4-1の勝利を最後に、チームは1912年以来となる「リーグ戦5試合連続ノーゴールでの敗北」という不名誉な記録を樹立。UEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16のパリ・サンジェルマン(PSG)戦でも、ファーストレグの74分まで2-2と善戦しながら、最終的には2戦合計8-2で惨敗を喫した。この敗退を境にリーグ戦でも急失速し、ブライトン戦での3-0の敗北を含め、直近8試合で7敗という深刻な状況に陥った。

ピッチ外でも問題が噴出した。ククレジャの理容師がSNSでFWジョアン・ペドロとMFコール・パーマーの欠場を漏洩するなど、キックオフ数時間前にスタメン情報が漏れる事態がPSG戦やブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン戦を含め3度も発生。さらに、MFエンソ・フェルナンデスがレアル・マドリードへの移籍をほのめかす発言を行い、クラブから2試合の出場停止処分を受け、マンチェスター・シティ戦を欠場するなど、規律の乱れも顕著であった。

それでも当初、クラブ首脳陣はロシニアーを擁護し、夏の移籍市場での補強を含めた長期的なサポートを約束していた。共同オーナーのベハダ・エグバリもロサンゼルスでのカンファレンスにおいて公然と支持を表明している。しかし、ロシニアー自身がチームミーティングで「非常に傷つきやすい状態にある」と弱音を吐いたことで選手たちは彼の限界を悟り、やがてホームゲームでは、ファンから解任を求める過激なチャントが飛ぶ事態へと発展した。修復はもはや不可能と判断した首脳陣は、ついに解任という決断を下したのである。

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名前:秕タクオ

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