
マインツ所属のFIFAワールドカップ北中米大会日本代表候補MF佐野海舟は、今季終了後の移籍が濃厚。DF伊藤洋輝所属バイエルン・ミュンヘンなどビッグクラブも移籍先候補に挙がっているが、一部の海外専門メディアが突きつけた冷徹な分析が、熱狂する移籍市場に一石を投じている。
ドイツ誌『ビルト』が8日に報じた核心はこうだ。マインツのスポーツディレクター、クリスティアン・ハイデルが設定した売却額は6000万ユーロ(約112億円)。2024年夏、鹿島アントラーズからわずか250万ユーロ(約4億5000万円)で獲得した選手が、その約24倍の値をつけられようとしている。クラブ史上最高移籍収入を3000万ユーロも上回る、前例なき数字だ。
今季、ブンデスリーガ分全試合でフル出場。消耗の激しいアンカーポジションで、一度もベンチを温めていない佐野だが、米メディア『ESPN』によると、ブレントフォード、ボーンマス、MF堂安律所属のアイントラハト・フランクフルト、ボルシア・ドルトムント、バイエル・レバークーゼンが関心を寄せているとのこと。くわえてノッティンガム・フォレスト、バイエルン・ミュンヘンの名まで連なり、7クラブが名乗りを上げる前代未聞の様相を呈している。
だが、熱量と実像の間には、埋めがたい溝が存在する。
海外メディア『beyond90』は22日、佐野のデータリポートを公開。「圧倒的な運動量を誇り、体格以上の存在感を見せる。『小さなエンジンだが働き続けるタイプ』だ」「イーサン・アンパドゥのように広範囲をカバーし堅実だが派手さに欠ける前進性、そしてマルティン・スビメンディのように小柄ながら空中戦で大きな存在感を発揮する点が共通している」と評した上で、こう綴っている。
「UEFAチャンピオンズリーグレベルのミッドフィールダーではない。UEFAヨーロッパリーグ出場圏やプレミアリーグ中位、あるいはブンデスリーガの上位(バイエルン・ミュンヘンを除く)レベルのクラブには適した選手である」
112億円の値札と「CLレベルではない」という評価。この乖離こそが、今夏の佐野を巡る争奪戦の矛盾だ。
『ビルト』は「ヨーロッパで最も需要の高い守備的ミッドフィールダーのひとり」と明言した。一方で、『beyond90』が示したのは、CLを主戦場とするクラブの基準には、明確な疑問符がつくという現実だ。仮にバイエルンへ移籍するとなれば、新天地での適応に苦労する可能性は排除できない。
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