
オーストラリア代表OBのハリー・キューウェル氏は、2024年に横浜F・マリノスの監督を務めていた。スコットランド1部セルティックで日本代表FW前田大然、MF旗手怜央らの指導に当たった実績を持つ指導者は、わずか数か月で解任されたが、本人が豪州メディア『フットボール360』のインタビューでその内幕を語った。
キューウェル氏の「マリノスはそれ自体で素晴らしいクラブであり、リーグで戦いながらAFCチャンピオンズリーグでも一歩先へ進もうとしていた」と前置きした上で続けた言葉は、穏やかな口調とは裏腹に刃を帯びていた。
「期待と現実のリソースの間にズレがあった。それはどの監督もキャリアの中で一度は経験することだと思う。ただはっきり言っておきたいのは、マリノスでの時間は本当に大好きだったし、Jリーグはこれまで関わってきた中でも最も競争力の高いリーグの一つだということだ」
この「ズレ」という言葉に、キューウェル氏は何度も立ち返る。『フットボール360』によれば、こうしたズレこそが、監督にとって「不満や孤独を感じる要因になった」という。 フロントとの関係性への言及は、さらに踏み込んだ。
「すべてはクラブ次第だ。明確なアイデンティティと、何を求めているのかを正直に理解している必要がある。短期的な結果を求めるならそれでいいが、その前提を理解した上で臨むべきだ。一方で長期的な再建を目指すのであれば、困難な時期も含めて全員がそのプロセスにコミットしなければならない」
「問題はそこだ。再建を約束されながら、結果が出ないとクラブが方針を変える。監督にとってそれは非常に厳しい。なぜなら、チームも戦術も評判も、すべてが自分自身に直結しているからだ」
「どのクラブでも、どうプレーしたいかを聞かれたら、私はまず『どんなスカッドなのか?』と尋ねる。驚かれることもあるが、それが唯一誠実な出発点だ。もし最高の選手が揃っていれば、後方から自信を持ってビルドアップする。しかし、GKがパスを出せず、ピッチ状態も良くないなら、現実に合わせて戦い方を変えなければならない」
「誰もがトップクラブのようにプレーしたがる。それは理解できる。しかし、異なるレベル、異なる条件、異なる選手がいる中では、より大きなリスクが伴う。そのリスクを受け入れる覚悟があるならいいが、適応することを学ばなければならない」
キューウェル氏のコメント内容を踏まえると、当時のフロントとオーストラリア人指揮官の間で何らかの乖離があった可能性はある。本人は同クラブや日本サッカー界に対して一定の敬意を払っているが、それでも複雑な思いを抱いているようだ。
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