
ヴィッセル神戸はJ1百年構想リーグ地域リーグラウンド WESTで首位。17日にAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)準々決勝アル・サッド戦を控えるなか、もう一つの数字がクラブ内外で静かに、しかし確実に浮上してきた。百年構想リーグ第10節終了時点における神戸のホームゲーム1試合あたりの平均観客動員数が、前年同期比でマイナス4266人。全20クラブ中ダントツのワーストだ。
西地区首位を走りながら、ノエビアスタジアム神戸の座席が埋まらない。この矛盾の答えは「日程の構造的歪み」にある、と断言できる。百年構想リーグ地域ラウンドのホームゲーム9試合のうち、神戸は実に6試合が平日開催だ。5試合の町田ゼルビアがそれにつづぎ、長崎は2試合、そして岡山・清水・川崎・鹿島に至っては0試合。この数字の偏りは、偶然では片づけられない。
もっとも、神戸が「平日に特別弱いクラブ」かと言えば、そうとも言えない。2025年リーグ戦における平日来場率を見ると、神戸は71.0%(5試合)。サンフレッチェ広島の98.1%、川崎フロンターレの92.8%には遠く及ばないが、浦和レッズ(61.0%)や横浜F・マリノス(55.1%)は上回る。つまりサポーター自体が平日に「来ない」わけではない。問題は、平日開催6試合という絶対数が他クラブと比較して圧倒的に多い、その一点に尽きる。
さらに追い打ちをかけるのが「国立不在」だ。2025年の百年構想リーグでは町田が2試合、FC東京・東京ヴェルディ・川崎・清水がそれぞれ1試合を国立競技場でホーム開催した。国立は普段スタジアムに来ない層を引き込む「集客ブースター」として機能する大会場だ。2026年の神戸にその恩恵は一切ない。収容2万9643人のノエビアスタジアムが本拠地である以上、国立効果の不在は1試合平均値に直接的なダメージとして蓄積される。
ここで時系列を整理しておくべきだろう。神戸のJ1リーグにおける1試合平均観客数は、2023年が2万2553人、2024年が2万1811人、2025年が2万1099人と、3年連続で右肩下がりだ。2023年のリーグ優勝直後がピークで、その後は緩やかな下落が続いている。今季の百年構想リーグにおけるワースト減は、この「構造的な疲弊」の延長線上にある。
一方、ピッチ上の話をすれば、神戸には今週明確な追い風が吹く。ACLE準々決勝の相手となったアル・サッドは、13日(日本時間14日未明)のアル・ヒラル戦で先発11人全員が延長120分間フル出場。フィルミーノの執念のゴールでPK戦を制し勝ち上がった強豪だが、中2日での神戸戦はフィジカル面で明確な不利を背負う。神戸がコンディション面での優位を活かすシナリオは十分現実的だ。
だが、ACLEがどう転ぼうと、「日程の不平等」という根本問題は残り続ける。ACLEに出場するクラブほど国内日程が平日に押し込まれ、集客コストを一方的に負わされる構造——これはリーグの設計上の欠陥だ。Jリーグが「欧州水準の商業リーグ」を目指す以上、成功クラブほど動員数で損をする逆説は、いずれ看板選手の市場価値や放映権交渉にまで波及するリスクを孕んでいる。神戸の「ワースト減」はいちクラブの話ではなく、リーグ全体の制度設計に突き刺さった棘だ。
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