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世界が熱狂したサッカーシーンと言えば?レスターの奇跡、W杯日本代表…

写真提供: Gettyimages

サッカーファンにとって最も熱狂的になる瞬間と言えば、応援しているチームがタイトルを勝ち取る瞬間やビッグマッチで勝利する時に違いない。しかし、応援しているチームに関係なく、何らかのチームが成し遂げた快挙を見た時に興奮することをは誰もが一度は経験しているであろう。

今回は、全世界の“サッカー・ラバー”を熱狂させた3チームの夢のストーリーを振り返ろう。


レスター・シティ、プレミア優勝(2015/16)写真提供: Gettyimages

レスター・シティのリーグ制覇

2016年、クラウディオ・ラニエリ監督が率いたレスター・シティが奇跡的なプレミアリーグ優勝を果たしたことは誰もが覚えているであろう。そのシーズンが始まる前までレスターは、優勝候補どころか降格ゾーンで競い合う1チームと思われていた。そんなレスターを優勝に導いた3つの要因は何だっただろうか。

その1、夏の移籍市場での大型補強

レスターは、約3000万ポンド(約40億円)を費やし、フランス2部でプレーしていたエンゴロ・カンテや、日本代表ストライカーの岡崎慎司を含む10選手を獲得して、チーム層を厚くした。

その2、ゴールを決め続けるストライカーとその相棒

レスターの物語の立役者となったのは、やはりフォワードのジェイミー・バーディである。シーズン通算24ゴールをマーク。未だにプレミアリーグでは、同選手が当時に残した1シーズンの連続ゴール試合数記録(11試合)を超えた選手はいない。そんなバーディーを右サイドから支えたFWリヤド・マフレズは、17ゴール11アシストをマーク。バーディ&マフレズのコンビは2015/16シーズンのレスターの象徴であるとも言える。

その3、絶対に負けない

当時のレスターには弱点がなかった。リーグ戦38試合中21勝14分3敗。勝利数だけを見ればそれ程の驚きはないかもしれないが、黒星数を見ればこのチームのモットーであった「ハードワーク」を感じることができるであろう。

レスターの物語は、強いチームが勝つという固定概念を完全に覆した伝説となった。


マンチェスター・ユナイテッドCL優勝(1998/99)写真提供: Gettyimages

マンチェスター・ユナイテッドの大逆転

1999年、バルセロナで行われたチャンピオンズリーグ(CL)マンチェスター・ユナイテッド対バイエルン・ミュンヘンの決勝戦は、CL史上最も劇的な決勝戦として知られている。同試合の流れを少し振り返ろう。

前半6分にバイエルンのマリオ・バスラーが直接フリーキックを決めて先制。その後は特に決定機もなく前半は膠着状態のまま終了する。後半に入っても然程流れは変わらず。ユナイテッドがバイエルンの硬いディフェンスを崩す事ができずに刻々と時間が過ぎていた。

試合残り時間が10分になろうとした時だった。大会スタッフによってビッグイヤー(チャンピオンズリーグのトロフィー)がバイエルンの赤色と白色のリボンに“模様替え”されていた。この光景をピッチから見た当時ユナイテッドのデビッド・ベッカムは試合終了後にこうコメントしている。「急に気分が悪くなり、吐き気がした。正直に言うと、もうどうしようもないと思っていたよ」

しかし、ここからドラマが始まるのだ。アディショナルタイム1分に、ライアン・ギグスが放ったシュートのこぼれ球をテディ・シェリンガムが押し込みユナイテッドが同点に追いつく。その3分後に現在監督となったオーレ・グンナー・スールシャールが逆転ゴールを決め、ユナイテッドが欧州の頂点に立った。

バイエルンの優勝が準備された後、アディショナルタイムに決まった2ゴールでユナイテッドが勝利した劇的な欧州頂上決戦となった。


日本VSベルギー(FIFAワールドカップ2018)写真提供: Gettyimages

ワールドカップ2018の日本代表

2018年にロシアで開催されたFIFAワールドカップで日本の侍が成し遂げた快挙も振り返ろう。

まずは初戦のコロンビア戦で日本代表が歴史に名を残す。香川真司と大迫勇也のゴールによって2-1でコロンビアを下した日本代表は、ワールドカップ史上初めて南米のチームを破ったアジアのチームとなった。

2節目のセネガル戦では、前半11分にサディオ・マネのゴールで失点するも、前半34分に乾貴士のゴールで同点に追いつく。後半16分に再び失点すると、その6分後には本田圭佑のゴールで再び同点に追いついて試合は2-2で終了。ポーランド相手のグループステージ最終戦は1-0で敗れるも、日本代表は下馬評を覆してグループHを2位で通過した。

決勝トーナメント(ラウンド16)1回戦の相手は、エデン・アザールやロメル・ルカクなどトップスターを擁する優勝候補のベルギーだ。

前半を0-0で折り返すと、後半の立ち上がりは日本が完全に主導権を握って、原口元気と乾がゴールを決めて2-0とリード。しかし、セットプレーを武器とするベルギーがヘディングで2ゴールを決めて同点に追いつかれる。試合終了間際のアディショナルタイム4分に、ベルギーが高速カウンターで決勝点を決めて3-2で日本が敗れた。

決勝トーナメント1回戦で敗退したものの、優勝候補相手に熱戦を繰り広げた日本代表に対し、日本国内だけでなく全世界からの評価は高く、海外メディアからも称賛する報道が相次いだ。

名前:Larese Emanuele(ラレセ・エマヌエレ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、テニス、読書
好きなチーム:ASローマ、FC東京

16年前に来日したローマ出身のイタリア人です。SBヴァンサン・カンデラのユニフォームを貰い、ASローマのサポーターになりました。主に、翻訳と通訳を中心に活動しています。

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