ワールドカップ

日韓W杯のトルコ大躍進を支えた、個性派守護神リュシュテュの先進性

2002年W杯でのリュシュテュ・レチベル(左) 写真提供:Getty Images

 さらに重要なのは、リュシュテュのボール配給がトップクラスだったことだ。彼の素早く試合を読む能力は、セネガルを破って準決勝進出を決めるイルハン・マンスズのゴールデンゴールに繋がるカウンターを生み出している。

 ロナウド、リバウド、ロナウジーニョといった名手を揃えた強敵ブラジルとの準決勝でさえ、リュシュテュは動じなかった。彼はいくつもの重要なセーブを見せ、試合終了まで決勝進出へのわずかな望みを繋いだ。ブラジルが1-0の僅差でしか勝利できなかったのは、リュシュテュの好守によるところが大きい。

 トルコは3位決定戦で韓国を下して3位の座を掴んだが、チームにとって最も大きな栄誉はリュシュテュが大会のベストイレブンに選出されたことだったかもしれない。さらに6ヶ月後にはUEFAの年間ベストイレブンにも選出され、世界最優秀ゴールキーパーの投票では3位に入っている。

 それ以降、トルコは躍進を再現するどころかワールドカップの出場権さえ得られていない。それでもリュシュテュは祖国のために120試合に出場し、輝きや混乱、騒動、そして印象的な瞬間に彩られた彼らしいキャリアを送った。そして私を含む多くの多くの人々にとって、彼はゴールキーパーの勇ましさに目を向けるきっかけとなる存在だった。

著者:キーシャーナン・サンダレザン

フットボール・トライブ・マレーシア編集長。Twitter:@KeeshSundaresan

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