プレミアリーグ アーセナル

過小評価される運命?アーセナルの身近なヒーロー、イアン・ライト

著者:ムサ・オクウォンガ(翻訳者:マリオ・カワタ)

 イアン・ライトが最初に私の目に留まったのは、彼がまだクリスタル・パレスでプレーしていた1990年のFAカップ決勝、マンチェスター・ユナイテッド戦だった。戦前の予想ではユナイテッドが有利だったが、後半から出場したライトはそんなことは気にしていないようだった。彼は素晴らしい2つのゴールを決めて相手チームとそのファンを大いに不安にさせ、もう少しで南ロンドンのクラブにトロフィーをもたらすところだった。最終的にはユナイテッドが再試合を制したが、私はその試合以来ライトに注目することになった。

 彼の能力の高さは信じられないほどだったし、外国のビッグクラブが彼を追いかけ回していないことは更に信じがたかった。誤解を招かないように言っておくと、ライトは英国内では大きな称賛を浴びていた。しかしそれはまるで、彼の才能がイングランドでしか認められていないようだった。私は彼の狡猾さとスピードがどんな舞台でも大きな武器になると信じて疑わなかったが、国際的なメディアが彼を持ち上げることはほとんどなかった。

 ライトが完全に評価されなかったのは、プロとして開花したのが遅かったからかもしれない。アーセナルにやって来た時、彼はすでに20代後半だった。もう一つ重要なのは、彼の活躍がプレミアリーグが世界中で人気を得る少し前だったことだろう。もし脚光を浴びたのが数シーズン後であれば、彼はイングランドだけでなく世界中でスターになっていたはずだ。

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