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メッシ擁するアルゼンチン代表、政治的圧力によりイスラエル戦中止に

 アルゼンチンサッカー連盟(AFA)は日本時間10日未明にエルサレムに位置するテディ・スタジアムで開催予定だったイスラエル代表との国際親善試合を中止することを発表した。6日、アメリカ『ESPN』など複数メディアが一斉に報じている。

 このイスラエル戦を巡っては、パレスチナサッカー協会(PFA)のジブリール・ラジューブ会長がエルサレムで開催することに対する非難声明を出していたほか、「メッシは偉大なるシンボルであるので、我々は彼のみをターゲットにする。我々は彼の写真やユニフォームを燃やし、処分することを呼びかける。メッシが(エルサレムに)来ないことを願っている」と同選手に対する“ネガティブキャンペーン”を予告するなど、中止に向けて圧力を強めていた。

 この長年イスラエルと根深い対立関係にあるパレスチナからの抗議を受け、現在バルセロナでワールドカップ・ロシア大会に向けた合宿を行っているアルゼンチン代表は、選手やスタッフへの身の危険を考慮し、開催中止という決断を下したものとみられる。またこれについてユベントスのFWゴンサロ・イグアインは「彼らは正しい決断を下したと思う」と一言述べている。

 これに加え、開催中止を要求していたPFAは「パレスチナサッカー協会は反スポーツ的なゴールを送ることに慣れているイスラエルとの試合を断ったアルゼンチン代表に感謝している」と公式声明を発表している。

 スポーツに政治問題が持ち込まれることが好ましくないのは周知の事実であるが、今回の親善試合中止は残念ながら政治的圧力を受けた形となってしまった。アルゼンチン代表にとっては、ロシアW杯に向けた最後の調整の場であっただけに、代替試合の開催の可能性など今後の対応に注目が集まる。