
FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会開幕を目前に控えた今、2018年ロシア大会、2022年カタール大会に続き3大会連続でW杯出場を逃したイタリア代表の低迷が改めて注目を集めている。W杯優勝経験国が3大会連続で本大会を逃した例は、2大会連続予選敗退を3回経験しているW杯初代王者のウルグアイ代表を超える、史上初の屈辱だ。
しかしながら、イタリアのトップリーグであるセリエAは、代表の凋落をよそに相変わらず欧州5大リーグとして一定の存在感を示し続けている。代表とリーグの乖離は何を意味するのか。ここでは3大会連続予選敗退の経緯を振り返りつつ、セリエAがなぜ競争力を保っているのかを分析する。加えて、仮に日本代表がW杯出場を逃した場合のJリーグへの影響についても考察したい。

3大会連続W杯予選敗退。何がイタリアを狂わせたのか
イタリア代表は長年W杯の常連国であり、2006年ドイツ大会では優勝を果たした。伝統的な守備戦術「カテナチオ」が代名詞だが、近年はその自慢の守備にも綻びが目立つようになった。
2018年ロシア大会予選ではプレーオフでスウェーデンに敗退。2022年カタール大会予選では北マケドニアに敗れ、史上初の2大会連続予選敗退となった。そして2026年大会予選では、グループステージでノルウェーに”ダブル”を許しプレーオフに回った。その予感は現実のものとなり、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦ではDFアレッサンドロ・バストーニの退場で数的不利となり、PK戦に持ち込んだものの敗れた。
敗退直後、当時のジェンナーロ・ガットゥーゾ監督は公共放送『Rai』のインタビューで「選手たちはあれほどの努力をしたにもかかわらず、このような敗北を受けるに値しなかった」「この結果は不当だ」と強がった。しかしイタリアサッカー連盟(FIGC)のガブリエーレ・グラヴィーナ会長はこの試合前に「W杯には行けると確信している」と根拠のない自信を示しており、準備不足が指摘されていた。ガットゥーゾ監督が希望した直前合宿の計画も、グラヴィーナ会長は却下したという。連盟首脳の対応の遅れが低迷の最大の要因として挙げられる。
数々のタイトルを手にし、現在は監督業を引退した名将ファビオ・カペッロ氏は、守備のスペシャリスト不足を問題視した。伝統の堅守が失われ、DFの集中力やフィジカルの弱さが国際舞台で露呈したとの見方を示した。

反故にされた”バッジョ・レポート”。改革の芽を摘んだ連盟
イタリア代表の予選3連続敗退は、連盟の育成改革や指導者教育の遅れを浮き彫りにした。イタリアメディアの報道によると、ロベルト・バッジョ氏が中心となって作成された膨大なマスタープラン(施設整備、データベース構築など)が、FIGCから完全に無視されたという。バッジョ氏は2010年8月にFIGCの技術委員に就任したが、2013年1月に辞任。その後はサッカー界と距離を置き、実業家および慈善活動に専念している。

外国人頼みのセリエA。代表弱体化との因果関係
セリエAでは、イタリア人選手の起用が限定的で、特に守備の要である3バックの中央ポジションでは外国人選手への依存が顕著だ。インテルでプレーするバストーニのようなイタリア人DFがこの役割を担うクラブは少なく、多くのクラブが外国籍選手を起用している。この構造こそが、代表チームの戦術の統制やメンタリティーを損なう一因となっている。
セスク・ファブレガス監督が率い、昇格2年目で来季の欧州カップ戦出場を確実にしたプロヴィンチア(地方の小クラブ)のコモは、5月10日(第36節)の敵地でのヴェローナ戦(1-0)で出場選手16人すべてが外国籍選手だった。セリエAの外国籍選手偏重起用がメディアで問題視されていない現実も指摘されている。リーグの競争力を高めるために有効ではあるが、代表選手および代表候補の若手選手の経験値を削いでいる側面も否めない。
2025/26シーズンのセリエAでは、インテル、ナポリ、ミラン、ユベントスが上位を争い、アントニオ・コンテ監督率いるナポリが2024/25シーズンに優勝するなど、タイトル争いは依然として活発だ。アタランタは2023/24シーズンにヨーロッパリーグを制覇し、各クラブが欧州の舞台で一定の成果を上げている。
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