
それでもセリエAが輝き続ける理由
セリエAがイタリア代表の低迷をよそに競争力を維持する理由の一つは、外国人選手の質と多様性にある。リーグは攻撃陣のクオリティーを高く保ち、先進的な戦術を多くのクラブが採用している。元イタリア代表監督のルチアーノ・スパレッティ氏がユベントスの再建を任されるように、気鋭の指揮官による革新的戦術がリーグ全体の水準を支えている。
経済面でも強みがある。観客動員数は欧州5大リーグで安定した数字を記録し、上位クラブでは1試合あたり数万人規模のファンが集まる。2025/26シーズンのミラノダービーでは7万5,000人超がサン・シーロに詰めかけ、興行収入が870万ユーロ(約15億7,000万円)を記録。セリエA史上最高額を更新した。スタジアム改修や商業収入の増加により、クラブの財務基盤は強化傾向にある。
UEFA国別係数ランキング(2025/26)でセリエAはイングランドのプレミアリーグに次ぐ2位を維持し、チャンピオンズリーグ出場枠「4」を確保している。カルチョ・スキャンダル後の改革やFFP(ファイナンシャルフェアプレー)下でも、ユベントスなどのクラブがスタジアム所有権を活用して優位性を発揮する構造が、リーグ全体の底上げにつながっている。
一方、守備組織の外国籍選手依存はイタリア人選手の経験不足を招き、代表チームの低迷を招いているのは間違いないようにも思える。ただしリーグのエンターテイメント性とファン層の厚さは、代表の成績など関係ないかのように支持を集めている。

もし日本が予選を逃したら。Jリーグへの影響を考える
想像もしたくないが、仮に日本代表がW杯出場を逃した場合、日本国内のサッカー人気やJリーグ人気に与える影響は、イタリアとは異なり甚大となるだろう。日本では、W杯本大会出場がサッカー全体の盛り上がりの土台となっており、初出場した1998年フランス大会以降のW杯効果がJリーグの観客動員やスポンサー収入、育成年代の発展に寄与してきた。
W杯出場を一度でも逃せば、メディア露出の減少、スポンサーの撤退、草の根レベルの育成水準の低下が懸念される。Jリーグは地域密着が強みだが、代表の低迷が長期化すれば、現在2万人前後で推移しているJリーグの平均観客動員数の停滞や若年層離れを招く恐れがある。ただJリーグの場合、セリエAほど外国籍選手依存が極端ではなく、代表とリーグの選手供給がより直結しやすい構造だ。Jクラブが欧州移籍のステップとして機能している点も大きな違いと言える。
イタリアでは、リーグの商業的成熟度と歴史的なファン基盤が、代表成績の悪影響を緩和している。日本では代表成績が国内リーグ人気に与える影響が相対的に大きいため、落選時のダメージはより顕在化しやすいとみられる。
歴史は繰り返すのか。外国籍選手禁止という選択肢
かつて1966年イングランド大会で北朝鮮に敗れグループステージ敗退を喫した屈辱をきっかけに、イタリアは自国選手の育成のため外国籍選手の新規入団を禁止した。その措置は1980年まで続き、1970年メキシコ大会優勝と1978年アルゼンチン大会4位という一定の効果が見られた。しかしながら、これだけグローバル化が進んだ現在のサッカー界で同じ措置が有効かどうかは疑問が残る。セリエAの競争力にも悪影響を及ぼすことは必至だ。
グラヴィーナ会長らの辞任表明後、根本的な刷新が進むかが注目される。代表強化のためには国内タレントの育成と経験の積み重ねが不可欠だ。イタリアサッカーは守備の伝統と攻撃の創造性を両立させることで、再び世界の舞台で存在感を発揮できるだろうか。代表とリーグのバランス回復が、その鍵となる。
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