横浜F・マリノスの特別指定選手だったU19日本代表FW塩貝健人のオランダ1部NECナイメヘン移籍もあり、有望株の海外流出やJリーグのABC契約制度が再び議論の対象となっていた日本サッカー界。Jリーグは9月24日に新人選手の年俸引き上げなど、契約制度の大幅改定(ABC契約の廃止)を行うことを決めたが、決定に至るまで年俸引き上げに難色を示すJクラブも存在したという。
日本人選手に対する評価は、FIFAワールドカップ・カタール大会における日本代表の躍進もあり、着実に上昇。FW福田師王(ボルシアMG)、MF吉永夢希(KRCヘンク)、パリ五輪U23日本代表FW佐藤恵允(ベルダー・ブレーメン)などJクラブを経由せずに欧州へ挑戦する選手も増加している。
また2024年8月には、慶応義塾大学の塩貝が横浜FMとの特別指定選手による契約を解除し、ナイメヘンと複数年契約を締結。オランダリーグではEU圏外選手の最低年俸が40万ユーロ(約6460万円)に定められており、20歳未満の選手でも20万ユーロ(約3200万円)以上を受け取ることが可能である一方、高卒・大卒1年目のJリーガーは原則としてプロC契約を結び、年俸が最大でも480万円しか受け取れないことから、ネット上ではABC契約の是非を問う声も挙がっていた。
有望株の海外移籍が相次ぐなか、Jリーグは高卒・大卒1年目のJリーガーの上限年俸額を1200万円に引き上げることを決定。日本プロサッカー選手会の会長であるDF吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)によると、クラブ側は年俸上限額の引き上げに消極的だったという。
吉田はインターネット動画配信サービス『DAZN』で8月29日配信開始の『内田篤人のフットボール・タイム』で、内田氏とJリーガーの年俸について議論。同選手は「色々な業界で賃上げが叫ばれているが、サッカー界も然り。あまりにも安すぎる」と、いち選手という立場で日本サッカー界の問題を訴えた上で、関係各所と年俸上限額を1000万円以上にするという方向で話し合いを進めていることを明かしていた。
ただクラブ側の懸念材料として、新人選手の全体的な年俸引き上げにより、プロ2年目以降の選手も年俸の引き上げを求める可能性があるとのこと。吉田は「Jクラブは、経営が圧迫されて嫌だと。けど、そういうのをスタンダードとしてやって、選手の価値を上げようということなので」と語っていた。
欧州サッカーにおける日本人選手の活躍が目立つがゆえに、若手選手の海外流出が問題視されているJリーグ。一部選手から「J1リーグのレベルが落ちている。良い選手が早めに海外へ行くのが、一番の理由だと思う」という意見も挙がったなか、Jリーグ幹部も契約制度の抜本的な改革に踏み切っている。
コメントランキング