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サッカー解説者番付2026:厳選9人の戦術分析力をファン目線で格付け

戸田和幸氏(左)風間八宏氏(右)写真:アフロスポーツ

来シーズンからJリーグに秋春制が導入される。欧州5大リーグやカップ戦と同じカレンダーとなることで、解説者の需要と争奪戦が激化するのは必至だ。限られた一流解説者を各配信・放送プラットフォームが奪い合う構図となれば、解説の質そのものが各社の差別化要因になっていく。

その意味で、解説者の戦術分析力はこれまで以上に厳しく問われる時代に入った。ここでは、現役時代の実績やファンからの評判、重要な試合での解説実績をもとに解説者の人気を番付形式で示しながら、それぞれの戦術分析の深さを深掘りする。評価基準は、戦術分析力・言語化の精度・洞察力・分析スタイルの独自性だ。


戸田和幸氏 写真:アフロスポーツ

横綱・戸田和幸氏

ユーティリティーな経歴が生んだ深い洞察力

清水エスパルスでキャリアを積み、2001年にゼムノビッチ監督のコンバートでセンターバックからボランチへ転向。その転換点が才能の開花を促し、2002年の自国開催W杯では守備的MFとして全4試合にフル出場してベスト16進出に貢献した。その活躍でプレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(2003年)、オランダのADOデン・ハーグ(2004年)への欧州移籍を果たす。

WOWOWで欧州チャンピオンズリーグ(CL)、U-NEXTでプレミアリーグを担当しながら、惜しみなく渡欧して現地を視察するなど、学びに限界を作らない解説者だ。戦術を流体力学のように言語化する分析眼が特徴。

Jリーグ解説では、プレー強度を指す「インテンシティー」を早い段階から重視し、的確に指摘してきた。「なぜそのプレーが生まれたかを丁寧に言語化する」とファンから高評価を受けており、現実的な視点と安定した支持が横綱たる所以だ。


大関・林陵平氏

NHKも認めた「言語化」で赤丸急上昇

DAZN、U-NEXT、WOWOWなどでJリーグや欧州リーグの多くの試合を担当し、日本代表の英国遠征ではNHKの解説に抜擢された。「いったいいつ寝ているのか」と心配になるほどの多忙ぶりだ。

東京ヴェルディのアカデミー出身で明治大学を経て、FWとしてJ通算300試合67得点を記録。東京ヴェルディ、柏レイソル、モンテディオ山形、水戸ホーリーホックら複数クラブを渡り歩き、2020年に現役引退。2021年1月から2023年12月まで東京大学ア式蹴球部監督を務めた。感覚的な指導が通じない知的エリート集団に、いかに戦術の意図を言葉で伝えるかを考え抜いたこの経験が、「言語化の鬼」という異名の礎となった。システムの噛み合わせを構造的に分析するスタイルが基本だが、スーパープレーには思わず叫ぶ”熱さ”も兼ね備えている。2025年2月にはJFA Proライセンス(旧S級ライセンス)を取得し、Jクラブの監督資格も得た。

2026年に発売された書籍『林陵平のサッカー観戦術2』では、【3-4-2-1】や【4-3-3】などのフォーメーションをポジションごとの役割で分解し、言語化集を活用した解説が話題を呼んだ。「戦術を論理的に落とし込み、観戦が一変する」とファンに支持される一方、専門用語を多用する傾向があり「中上級者向け」と指摘されることもある。


関脇・水沼貴史氏

65歳になってもアップデートを続ける大ベテラン

DAZN、U-NEXTでプレミアリーグやJリーグを担当。浦和南高校、法政大学、日産自動車(現・横浜F・マリノスの前身)を経て横浜マリノスに在籍し、1984年から5年間にわたって日本代表としても活躍した。

引退後は横浜F・マリノスのコーチ・監督を歴任するなど、日本サッカー界の第一線を歩み続けた経歴を持つ。日本代表MFとしての経験や横浜F・マリノス監督(2006年途中就任)の実践的知見が分析の強みで、平易な口調が持ち味だ。

選手の経験値やポジション変更によるスペース創出を、両チームの狙いから読み解くスタイルが「安定感がある」とファンに支持されている。オールラウンダーとして初心者向けの解説に一日の長がある。


小結・粕谷秀樹氏

「元選手」以外にも解説者の道を開いた功労者

日本スポーツ企画出版社の社員として、『週刊サッカーダイジェスト』副編集長、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長を歴任。退社後には、競合誌だったベースボール・マガジン社の『週刊サッカーマガジン』、『ワールドサッカーマガジン』のテクニカルアドバイザーを務めた経歴を持つ。

『ワールドサッカーダイジェスト』編集長時代からスカパー!で欧州リーグの解説を担当し、選手経験のない解説者のパイオニアと言えるだろう。現在はU-NEXTでプレミアリーグを専門に解説。イングランドサッカーの記事執筆40年超の経験から、チームの歴史も交えた戦術の裏読みが深みを加えるスタイルだ。

「ピッチ内外問わず、プレミアリーグの裏事情まで解説してくれる」と評価される一方、戦術的な深掘りよりも全体像把握型の分析が主流。番組出演時に「Jリーグは見ない」と語っていたことから、プレミアリーグのコアファン層に特に響く解説者と言えるだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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