
2024年から2025年にかけて、大学・高校サッカーの現場では、監督や指導者による暴力・暴言が原因で、少なくとも6件の解任・辞任・処分が確認されている。
その背景を語るうえで避けられないのが、プロの現場での動向だ。2025年12月、町田ゼルビアの黒田剛監督が、意に沿わない選手に「造反者」などの表現を使って排除を示唆する発言をしたり、練習中に特定コーチへ大声で怒鳴ったりする行為が認定され、Jリーグからけん責処分を受けた。パワーハラスメントの認定はされなかったものの、Jリーグは黒田監督が「反省しているとは言い難い状況」にあり、調査過程で関係者への口止めを図る行為もあったと説明した。またアビスパ福岡の金明輝前監督の退任理由もパワハラ行為が原因と報じられた。
プロであれば、監督と折り合いが合わなければ移籍という選択肢がある。GKポープ・ウィリアム(現ベールスホットVA=ベルギー、期限付き移籍)は、黒田監督の指導法に反発し「こんな人と一緒に仕事はできない」という理由で2024年に町田を離れ、横浜F・マリノスへ移籍したことを自ら明かしている。
だが学生にはそれがない。退部は事実上の競技引退を意味し、特待生であれば退学を余儀なくされることもある。この非対称な権力関係こそが、育成年代のパワハラを構造的に温存してきた。

大学サッカー部での事例
2024年3月、流通経済大学の中野雄二監督が他大学の監督に対するパワーハラスメント行為として、日本サッカー協会から3か月の公的職務停止処分を受けた。処分後の同年6月には職務に復帰している。全日本大学サッカー連盟の理事長も兼任するポジションにありながら、解任動議は反対多数で否決された。
その流通経済大学では、2026年2月、部員5名が違法薬物を使用したことを認め、茨城県警が寮への家宅捜索を実施。大学は男子サッカー部の活動を無期限停止とし、中野監督の業務も停止した。薬物問題発覚後、中野氏が理事長を務める関東大学サッカー連盟の理事会は全会一致で活動自粛を勧告し、中野氏もこれを受け入れた。ただし全日本大学サッカー連盟理事長の職については代行に委ねつつも、正式に退いてはいない。パワハラ処分と薬物問題が相次ぐ中でなお肩書にしがみつく姿勢は、「鯛は頭から腐る」という言葉をそのまま体現しているように映る。
同じく2024年3月、専修大学サッカー部でも問題が浮上した。川崎フロンターレの前身・富士通サッカー部などで活躍した元FWの源平貴久監督(当時)が部員に対し「障害者かと思った」などの暴言を吐いた疑いが告発文書で明るみに出、不正経理疑惑も重なり辞任に至った。大学は「警察に相談している」と回答している。
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