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Jリーグだけじゃない。大学・高校サッカーで相次ぐ指導者処分の深刻な背景

全国高校サッカー選手権のロゴ 写真:アフロスポーツ

高校サッカー部での事例

2020年1月、石川県の星稜高校で、河崎護総監督が部員への暴言に加え、頬を平手打ちするなどの暴力行為が複数確認された。学校側は第三者委員会を設置し、解任した。

2022年5月、熊本県の秀岳館高校では、コーチによる部員への暴行動画がSNSで拡散。当時の段原一詞監督は動画を投稿した部員を叱責し謝罪動画を投稿させるなど不適切な対応に終始した。その後の調査で学校全体として53件の暴力行為が確認され、当該コーチは懲戒解雇・書類送検となった。

2025年9月、愛知県の東邦高校では、外部コーチが1年生部員を蹴るなどの体罰を繰り返し、そのコーチから「またやっていいですか」と問われた監督がうなずいて黙認していたことが発覚。3名の部員が転校を余儀なくされたことで問題が表面化し、監督には無期限の指導停止処分が下された。

2023年10月、兵庫県の相生学院高校では、炎天下で長時間立たせるなどの不適切指導を繰り返した上船利徳監督が解任され、高体連からも出場停止1年の処分を受けた。同部はその後、ブラジル人指導者のエルシオ・ミネリ・デ・アビラ氏を監督に迎えて再出発を図っている。

男子だけではない。2025年5月、東京都の十文字高校女子サッカー部では、「バカ」「おまえはダメだ」など人格を否定する発言を繰り返した50代の男性監督が解任された。2018年にも同様の処分を受けており、再発として厳しく対処されたかたちだ。


「Jリーグの物差し」が育成年代に与える影響

大学・高校の指導者たちは、Jリーグでパワハラ問題が生じたとき、どの行為にどの程度の処分が科されるかを注視しているはずだ。「どこまでがセーフか」を確認する作業でもある。処分基準が曖昧だったり軽微にとどまったりすれば、その網をかいくぐる形でハラスメントが陰湿化しかねない。

金明輝氏や、湘南ベルマーレ時代の曺貴裁監督(現京都サンガ)への「ライセンス1年停止」にとどまらず、黒田監督のケースを事実上の無罪放免で終わらせることは、育成年代への悪いシグナルになる。プロの現場での基準と対応が、日本サッカー全体の文化を形成することを、Jリーグと関係者は重く受け止めるべきだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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