Jリーグ

J2昇格消滅の富山、左伴繁雄社長が岩手戦直後の胸中明かす「詫びに行ってよかった」

カターレ富山

 カターレ富山の左伴繁雄代表取締役社長は、今月28日開催の明治安田生命J3リーグ第27節・いわてグルージャ盛岡戦での敗戦によりJ2昇格の可能性が消滅したことを受けて、自身の思いを綴った。

 カターレ富山は東京五輪開催による中断期間までのリーグ戦15試合で勝ち点27を獲得するなど、シーズン中盤までJ3リーグ首位に立っていた。しかし、シーズン終盤の10月下旬からリーグ戦で3連敗を喫し、ロアッソ熊本やいわてグルージャ盛岡、ロアッソ熊本とのJ3優勝争いから後退。そしていわてグルージャ盛岡との直接対決で0-1と敗れたことにより、2位いわてグルージャ盛岡との勝ち点差が「7」に広がり、今季J2昇格の可能性が無くなった。

 その中、左伴繁雄氏はいわてグルージャ盛岡戦後にSNSを更新。「ゴール裏、詫びに行ってよかった。少し話させてもらったが、細かなことはオフに入ったらで。みんなの目が全然死んでなかったのがなにより嬉しかった。オレもこれからだから!遠路ありがとう!今言えることは…『最終戦、最高の試合をしよう!』」とコメントを残すと、サポーターから「最終節勝利で!」、「最後は笑って終わろう!」と最終節・鹿児島ユナイテッド戦にむけてのメッセージが届いている。

 また、カターレ富山は28日夜に「J2復帰消滅に際して」と題した声明を発表。左伴繁雄氏は「日頃よりカターレ富山をご支援いただき厚く御礼申し上げます。表題にあります通り、本日行われましたJ3リーグ第29節対いわてグルージャ盛岡戦終了時点で、今季でのJ2復帰の芽が絶たれたことを、ここに慎んでご報告を申し上げます」

 「4月より代表となり、8年越しのJ2復帰を目標と定め戦って参りましたが、リーグ最終戦を前にそれが叶わなくなりましたこと、深くお詫び申し上げます。熱心に応援いただきましたファン、サポーターの皆さん、そして物心両面でご支援いただきましたスポンサーの皆様、また復帰を心待ちにしてくれていたアカデミー、スクール生、親御さん、社員のみんな、県民の皆様、本当に申し訳ありませんでした」

 「今季は石﨑監督の下、90分足を止めず、球際を厳しく、強度をもった攻守の切り替えの速いアグレッシブなサッカーを目指し、首位で折り返す前半戦まではそれが概ね機能しておりました。しかし相手に対策をされた後半戦では、相手守備網を突破するだけの改善が進まなかったことに加えて、課題としていた細かな技術的なミス、判断の遅れ等も重なり、皆様の期待を大きく裏切る残念な結果となってしまったこと、重ねてお詫び致します」

 「復帰消滅に際し、サッカー、マネジメント、フロント、会社体質といった領域での些細な原因分析については、まだ最終戦を残しておりますので、シーズン終了後に詳らかにさせていただきます。いずれに致しましても、本結果に対する対外的な全ての責任は代表たる私にあります。2014年J3に降格以降、皆さんが背負って来た痛みの深さを自分ごとにし切れなかったことを猛省し、続投に関して弊社取締役会にて然るべき筋を通させていただいた後、不退転の覚悟をもって来季に臨んで参る所存です」

 「さて、この場で申し上げることが相応しいかどうか計りかねますが、今シーズンを戦ってみて、今のチームや社員には大きな手応えを感じております。それはひとえに『ひたむきにハードワークする』ことに対して、愚直なまでに真正面から取り組んでくれていることです。チームは90分を通じてうまくいかない時も決して諦めずに練習に試合に誠実に向き合ってくれております。そして社員も忘己利他の精神で、チームにそしてお客様に真摯に向き合ってくれております。そうした本気で取り組んでいるからこそ、お客さまにも本気で喜んでいただいたり、時には本気のお叱りを頂戴したり、悲しまれたりといった『本気の感情』を出していただけたのではないかと思料しております。生きていて一番空しいのは『無気力、無感情、無感動』ではないかと思いますが、カターレと接していてその対極にある生きている実感を味わっていただけたのではないかと容易に分かる場面を何度も見て参りました。このことはたとえ復帰が果たせずとも、私たち、そして皆様の大事な宝物になるものと信じております。そして、そのエネルギーは必ずや来シーズンに反抗の狼煙をあげるに足るものと確信しております。私はこの業界では人一倍諦めの悪く、執念深い男でこれまでやってきておりますので、来季続投の折には、越年させてでも『J2復帰』という大願を成就させる腹積りでおりますことをここにお誓い申し上げます」

 「最後になりますが、今年一年J2復帰という目標達成に向けて皆さんと共に笑い、時には悔しさに怒りを震わせ、そして泣き、必死な想いで過ごして参りました。重ねて申し上げますが、その時間はたとえ復帰が果たせずとも、私の中では決して色褪せることのない生きている証たる豊かな時間となりました。皆さんもいつかは同じ想いに至っていただけることを願うばかりです。そして来季は、皆さんの悲しみも怒りも虚しさも全て私が背中に背負って墓場まで持って行く覚悟でおりますので、皆さんは悔しさだけを胸に刻み、どうか一緒に戦い続けていただけますよう、お願い申し上げます」

 「今のチームで戦えるのも残り1試合、プロとして恥ずかしくないカターレのサッカーをお届けすることをお約束させていただき、平らな心持ちで筆を置かせていただきます」とサポーターやスポンサー等に対して自身の思いを発信している。