メッシのロッカーの話
ロナウジーニョはリオネル・メッシがユースからトップチームに上がったとき(2003年)に、彼に大きな影響を与えた。
バルセロナのロッカールームは「U型」で作られており、それを利用する選手の順番も決められている。まずはスタメンのロッカーがあって、「U」の逆側はユースからトップチームに上がった選手やその他の若手選手の場所となる。これは差別ではなく、バルセロナの昔からのやり方であり、アンドレス・イニエスタなども若い頃はレギュラー陣のロッカーとは反対側に物を置いていたという。
しかし、その頃ロナウジーニョの隣のロッカーが空だった。彼はフロントに相談し、メッシに隣のロッカーを使わせて欲しいとお願いしたのだ。最初に恥ずかしがりのメッシは断ったと言われているが、ロナウジーニョのあまりのしつこさに負けたようだ。
きっとこの出来事によってメッシは当時のスタメンともっと深い関係になっただろう。
エル・クラシコの前にイニエスタへ電話。「俺はレアルに移籍する」
2005年11月19日、レアル・マドリードのホームでエル・クラシコが開催する予定だった。その数日前にロナウジーニョは現在ヴィッセル神戸でプレーする元バルセロナとスペイン代表のアンドレス・イニエスタに驚くべき電話をしたのだ。
「アンドレス、今が朝3時であることがわかっている。でも、告白しなけれけばならないことがある。 次の6月、バルサを離れることになった。私の兄(ロナウジーニョの代理人)がレアル・マドリーとの契約に合意して、断ることができないほど高額な金額だ。 おまえはまだ若いけどわかってくれるよね。 でも、どうかこのことは他の選手やクラブの関係者に言わないください。裏切らないでほしい。私は誰よりもおまえのことを信じている。おやすみ』 とイニエスタに一言も言わさずに電話を切ったという。
次の日、普段通りバルセロナのトレーニングが行われていたが、選手全員が静かで雰囲気が重かったにも関わらず誰もその理由を探らない。 そしてエル・クラシコの日、ロナウジーニョは選手全員の前でこんなスピーチをした。
「僕にとってこのチームが家族のような存在だ。 実はチームメート一人ひとりに電話して、6月にチーム離れることを伝えた。だけど、みんながそのことを心の中にしまい、僕を裏切らなかった。僕はレアル・マドリードなんかに移籍しない。このクラブでまだまだ活躍するつもりだ。さあ、ピッチに出てマドリードの選手に、僕たちの強さを見せてやろう」
その試合に3-0で勝利したバルセロナ。ロナウジーニョは2得点を挙げる活躍を見せた。そのパフォーマンスを見たレアル・マドリードのサポーターはスタンディングオベーションで、彼を褒め称えた。
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