セリエA アタランタ

DR.TRIBE【試合診断書】セリエA第5節:ミラン対アタランタ

大会:セリエA
カード:ミランvsアタランタ
スコア:2-2
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):エミリアーノ・リゴーニ

途中出場からマリオ・パシャリッチとの違いを作った。ミランの足が全体的に止まってきたこともあるが、パシャリッチの出来なかった相手を剥がして前を向くというプレーをこなし、サイドへの展開からチャンスを演出。試合終了間際には、こぼれ球にしっかりと反応してチームに勝ち点1をもたらす貴重な同点弾を挙げた。

ザ・ハード・ワーカー(THW):スソ

この試合2アシストの活躍。クロスの精度は抜群で、機械のように毎回高い質のボールでチャンスを演出した。強いて言えば、試合最終盤に獲得したセットプレーは素直にボールを入れるべきだった。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):マリオ・パシャリッチ

前を向くどころか、ボールを収めることも難しい試合となった。ミランがボールの取りどころに設定していたこともあるが、すぐに複数選手に囲まれ窮屈なプレーが交代まで続いた。交代で入ったリゴーニが活躍したことを考えると、悔しい思いをしているはずだ。


ミランの攻撃vsアタランタの守備

前節カリアリ戦の課題をしっかりと克服し勇気をもって縦に繋いでいく入りを見せたミラン。システム的にがっぷり四つとなり、アタランタのプレスのテンションも高かったが、ボールを引き出す動きとそこに正確につけるプレーで序盤に先制に成功する。アタランタとしてはほぼマンツーマンで守っていたため、リカルド・ロドリゲスにプレスを外されたことで全体が動き、最終的にCB間でイグアインがフリーになってしまったということだろう。

その後も、ミランは選手の距離感の良さと奪われてからのプレッシングで試合の主導権を握った。全体として大きな仕事の出来なかったハカン・チャルハノールだが、ゴンサロ・イグアインとの距離感は修正されているように見えた。また、ジャコモ・ボナベントゥーラもイグアインの空けたスペースを有効に使い、それが2点目に繋がっている。

後半はアタランタがプレスの強度を高めた入りと、あえてマテオ・ムサッキオをフリーにするプレッシング、レモ・フロイラーを1列上げることでミランのビルドアップを妨害。このあたりから、ミランは主導権を手放し始める。ただ、ムサッキオが持ち運ぶなど、解決策を見出そうとはしていた。

決め手となったのはヨシップ・イリチッチの投入によりアタランタがシステムを4-2-3-1に変更してから。アタランタはしっかりとルーカス・ビリアのところで数的優位を作り、カウンターに繋がるボール奪取を実現した。


アタランタの攻撃vsミランの守備

前半は完全にパシャリッチを狙われて思うような攻撃ができなかったアタランタ。逆にミランからすれば狙い通りのディフェンスだろう。アレハンドロ・ゴメスが左に流れて、ダビデ・カラブリアが攻撃参加で空けたスペースを使おうとしていたが、ミランもカバーリングとパシャリッチを試合から消すことでしっかりと対処した。

アタランタは前述のプレッシングから徐々に試合の主導権を握り返した。リゴーニがミランのプレッシングをかわせたことで、ミランのディフェンスはより無防備に。ドゥバン・サパタもミランの2CBにプレッシャーを与え続けた。結果としてゴメスがエリア内でボールを受けられる形を作ることができた。

最終盤はミランの選手のガス欠もあり、攻勢を強めたアタランタ。サパタのフィジカル能力とシステム変更により、サイドで起点を作る回数を増やした。ミランも4-4-2の守備ブロックで阻みにかかったが、守り切ることはできなかった。


ミラン監督:ジェンナーロ・ガットゥーゾ

結果から言うと勝たなければいけない試合だった。前節の課題はしっかりとクリアしていたが、運動量の増加は、わかり易い形で選手に疲労に繋がった。ボナベントゥーラに代えてティエムエ・バカヨコを投入したが、徐々にプレーの質は上がっており、完成に少しづつ近づけているのだろう。左サイドでの組み立ては、徐々にではあるが目指す形を示している。チャルハノールのコンディション問題もあるが、ロドリゲス、引き出すボナベントゥーラ、降りてきてボナベントゥーラと入れ替わるチャルハノールの連携は悪くないだろう。


アタランタ監督:トゥリオ・ガエターノ・グリッティ

ジャンピエロ・ガスペリーニがベンチ入り禁止処分を受けたため、この試合の指揮はアシスタント・コーチのグリッティが務めた。試合の入りはガスペリーニの指示だろう。結果としてうまくいったとは言えないが、後半の頭から2枚の選手を交代し、プレッシングを工夫した点は評価できる。イリチッチを投入しシステムの変更を決断した点も良かった。アウェイのミラン戦で勝ち点1という結果は評価できるだろう。


主審:ダニエレ・ドゥベリ

ゴメスにイエローカードが提示される78分までは、転倒などもあったが試合の中で存在感を消しながら非常に良いレフェリングを行った。しかし、ムサッキオに対してのアフターチャージをとり、ゴメスにイエローカードを出したところから一変する。まず、ゴメスへのイエローカードは気の毒だ。結果としてのアフターチャージだし、ゴメスは足を出すようなこともしていない。あくまでパスコースを消しにいっただけのプレーだ。その後は、取るべきファールをとらず、選手もヒートアップ。非常に後味が悪い。




名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

筆者記事一覧