セリエA

ウディネーゼ、失意の11連敗と2度の指揮官交代を経て再び残留争いへ

昨冬ウディネーゼ指揮官に就任も4月に成績不振で解任に追い込まれたマッシモ・オッド氏  写真:udinese.it

 クリスマスには来季欧州カップ戦出場権手前も…

 昨季、途中から就任のルイジ・デルネーリ監督のもとセリエA残留という“ノルマ”を達成したウディネーゼは、同監督続投で迎えようとしていた今季のリーグ戦開幕前からメルカートで誤算を生み、周囲からすでに懐疑的な目線を向けられていた。ギリシャ代表GKオレスティス・カルネジスをウディネーゼと同じくジャンパオロ・ポッツォ・オーナー所有のワトフォードにレンタルで放出。さらには昨季は2桁得点を叩き出したにも関わらず、同指揮官のもとで最適なポジションが与えられなかったFWシリル・テレオーをメルカート期間閉鎖直前にフィオレンティーナに放出し、代役としてピッチ外で問題を抱え、メディアの標的にされることの多かったFWマキシ・ロペスを獲得したことがシーズン序盤における不振につながったという見方がティフォージの間では根深い。

 周囲の予想通り、ウディネーゼは開幕から複数失点による黒星が先行し、早くも指揮官デルネーリの進退問題が浮上。直前の記者会見で「私個人にとっても重要な一戦となる」と意気込みをあらわにしていた第7節サンプドリア戦こそ4-0で勝利を飾ったものの、以降の試合でも改善は見られず、第12節カリアリ戦敗戦後に降格圏まで3ポイント差に迫っていたことを受けクラブ首脳陣は解任に踏み切る。

 そのデルネーリに替わり、新たに招聘(しょうへい)された人物は昨季、ペスカーラで格上相手にも臆することなくポゼッションのスタイルを貫いていたマッシモ・オッドだった。オッドはデルネーリの代名詞でもある4バックから3バックへのテコ入れを行うとともに、FWケビン・ラザーニャとFWロドリゴ・デ・パウルの前線2枚を軸としたシステムを確立。するとチームは昨年12月のリーグ戦5試合でラザーニャが5ゴール2アシストと指揮官オッドが目指すポゼッションスタイルに嵌ったこともあり、一気に15ポイントの上積みに成功。降格圏を脱出するとともに順位を一時、7位まで押し上げ来季欧州カップ戦出場圏内を射程に捉えるほどの大躍進を見せた。

 しかし1月中旬以降、その勢いに陰りが出始めると、2月上旬の第24節トリノ戦から先月22日に行われた第34節クロトーネ戦まで泥沼の11連敗を喫す。クロトーネ戦後にはティフォージがクラブのドレッシングルームへの乱入を試みるなど事態は悪化を辿る一方であり、これを見かねた首脳陣はクロトーネ戦から2日後に指揮官オッドを解任。今季2度目の監督交代をこの残留争いの真っ只中で決断すると、後任にはかつてユベントスで活躍していたイゴール・トゥドール氏を、そしてアシスタントコーチにはトゥドール氏のユベントス時代における同僚のマルク・ユリアーノ氏を招聘する。

 しかしそれでも一度狂った歯車は元に戻らない。第35節ではすでに降格が決定していたベネベントとの一戦だったが、ベネベントが退場者を出し数的優位に立ったにも関わらず後半終了間際に同点弾を許し2ポイントを取りこぼすと、日本時間6日晩に行われた第36節・インテル戦ではホーム・ダチアアレーナで地力の違いを見せつけられる格好で4失点の惨敗を喫した。失意を味わっているウディネーゼに残されたチャンスはこちらも降格が決定しているエラス・ベローナとのアウェイマッチ、そして残留争いのライバルであるボローニャとの最終節だ。クリスマスの時期には想像の付くはずもなかった過酷な残留争いの渦中にあるウディネーゼの結末は果たしてどのようなものとなるのだろうか。

著者:津田翔汰

フットボールトライブ編集部。Calcio,Bianconeroをこよなく愛する若武者

Twitter:@specialheart889

ページ 2 / 2