セリエA

ウディネーゼ、失意の11連敗と2度の指揮官交代を経て再び残留争いへ

著者:津田翔汰

 「ユベントス1強に終止符を打つクラブ」が今季最大のテーマとして、イタリアの主要各紙面を賑わせたスクデット争い。序盤からセリエA6連覇中の王者ユベントスに対し、1989/1990シーズン以来の優勝を目指す“南部の雄”ことナポリが、イタリア代表FWロレンツォ・インシーニェ、ベルギー代表FWドリス・メルテンス、そしてスペイン代表FWホセ・カジェホンの前線3枚を中心としたスペクタクルな攻撃に加え、昨季から就任した指揮官マウリツィオ・サッリのもとで大幅な改善を図った守備組織を武器に、今年2月まで首位を走るという周囲の予想を覆す展開を披露していた。

 ただそれでも3月以降はユベントスが地力の違いを見せつけ、「追われる側」と「追う側」の立場が逆転。その後もユベントスがチャンピオンズリーグ(CL)と並行しながらも辛うじて首位を守り抜き、リーグ戦2試合を残して「実質上スクデット7連覇」を決めている。この両クラブが展開した“激闘”は、今季の当初から「チーム全体のピークを3月に持ってくる」というプランを練っていた敏腕指揮官マッシミリアーノ・アッレグリにとっては想定範囲内の展開だったかもしれないが、イタリア国内のみならず世界中のフットボールファンが固唾を飲んで見守っていたに違いない。

 ようやく”終戦”を迎えたスクデット争いからメディアやファンの次なる視線はリーグテーブルの上から下に向けられる。するとそこでは例年以上に熾烈(しれつ)な残留争いが繰り広げられていることを察知するだろう。すでに最下位のベネベント・カルチョと19位のエラス・ベローナのセリエB降格が決定している。

 この2クラブについて触れると、一昨夏に史上初のセリエB昇格、そして昨夏にセリエA昇格という”快挙”で話題を呼んだ前者は、開幕節からの14連敗、そして勝ち点1桁でのシーズン折り返しなど、苦境に立たされる。シーズン後半はわずかながら巻き返しを見せ、第34節にミラン相手に大金星を挙げたものの、皮肉なことにその翌日に降格が決まった。また後者に関しては、昨夏1シーズンでのセリエA復帰を果たし、元トリノのFWアレッシオ・チェルチやユベントスのFWモイーズ・ケーンを獲得。ミラノ勢2クラブに在籍経験を持つFWジャンパオロ・パッツィーニとともに強力な攻撃陣を形成するも、シーズン中盤以降は連敗続きで勝ち点を伸ばすことができず、第36節のミラン戦で敗れたことにより、来季は再び2部を舞台に戦うことが決定している。

 そしてベネベントとエラス・ベローナ以外の降格枠「1」を避けるべく6クラブが残り2試合で総力戦に臨むこととなっている。その6クラブの名前を列挙すると、ボローニャFC1909、SPAL2013、ACキエーボ・ベローナ、FCクロトーネ、ウディネーゼ・カルチョ、そしてカリアリ・カルチョである。今回はその中でも2月以降に公式戦11連敗を喫し、残り公式戦4試合の時点で今季2度目の監督交代という”荒治療”を施したウディネーゼを取り上げたい。

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