Jリーグ 松本山雅

霜田正浩監督退任の松本山雅を提訴。田中隼磨が経過報告。過去にOBから異論

田中隼磨氏 写真:Getty Images

 J2昇格を逃した松本山雅は12月12日、霜田正浩監督が契約満了により2024シーズン限りで退任すると公式発表。その直前に、OBの田中隼磨氏がクラブや元代表取締役社長を相手取り提訴した件に言及している。

 2014年から9シーズンにわたり松本でプレーし、横浜F・マリノス時代のチームメイトである松田直樹氏の背番号「3」を受け継いでいた田中氏。引退後もエグゼクティブアドバイザーとして松本に関わり続けたが2023昨年12月に同職を辞任。2024年4月8日にXで以下のように辞任理由を説明していた。

 「2023年12月23日に行われたサポーターミーティングで、私がクラブを辞めた経緯についてクラブ側が説明を行いました。内容は『コーチが試合後、サポーターに対して失礼なことを言ったことに対し、ダメなものはダメという認識はクラブも田中氏も同じだった。そのコーチに対して11月に厳重注意をした』と言うものです。しかし、この説明は私がクラブから聞いたこと、話したこととは全く違います」

 「私はクラブに対し、何度も訂正をお願いしてきましたが、クラブは訂正に応じてくれませんでした。私は、問題になったコーチの発言はファン、サポーターに対してのものでありダメな暴言である、間違っていると感じ、12月7日クラブと話し合いの場を持ちました。その時のクラブの回答は、『問題の発言はファン、サポーターに対してのものではない、中に向けて発したことだから、逆にどう処分したら良いか教えてよ。処分なんてできない』というものでした」

 「私は『クラブとしてきちんとした処分をしないとその人の為にもならない、クラブの為にもならないのでしっかり教育をして欲しい』と何度も繰り返し伝えました。状況は違いますが、以前山雅のアカデミー選手がアカデミーコーチに対し、今回厳重注意を受けたトップチームのコーチと同じ発言をした際、クラブはそのアカデミー選手に対し、厳重注意ではなく退会勧告を言い渡しました」

 「トップチームのコーチには厳重注意に留まり、未来あるアカデミー選手には退会勧告という現状に憤りを感じてなりません。人によって処分を変えてしまえば、整合性がなくなり、クラブの規律も乱れてしまうということもずっと伝えてきました。私はこのコーチを辞めさせて欲しいとは一切言っておりません。そのコーチのため、クラブの為にもきちんとした処分をしたほうが良いということを伝えました」

 「しかし、クラブは動いてくれなかった為、私はクラブを辞める決意をしました。辞めた理由は他にもまだありますが、このことが辞めるきっかけになった理由、経緯です。ところが、突然サポーターミーティングにおいて『コーチがファン、サポーターに向けて失礼なことを言った、11月に厳重注意処分をしていた、ダメなものはダメをいう認識はクラブも彼も同じだった……』など全く違う説明がされていて大変驚きました。ダメなものはダメと言ったのは私で、クラブではありません」

 そして松田氏の命日である8月4日には、「昨年開催されました2023松本山雅FCサポーターミーティングでの松本山雅FCの発言について、当時のクラブの代表取締役社長およびクラブを提訴することにしました」と報告。裁判の行方に注目が集まっていたが、12日夜に「本年8月4日にSNSで投稿した当時の松本山雅の代表取締役社長およびクラブを提訴した件について」と題し、こう綴っている。

 「現在、長野地方裁判所松本支部で裁判が続いています。たくさんのお問い合わせがありますが詳細について知りたい方は裁判所で裁判記録の閲覧ができます。裁判所の業務上すぐに閲覧できないこともありますので、ご理解のほどよろしくお願いします。私は松本山雅が大好きです。だからこその言動です。未来の松本のために、変わっていかなければいけないと思ってます。円満に解決できるように願っています」

 なお田中氏の古巣提訴を巡っては、クラブOBの高崎寛之氏が2024年4月、田中氏の辞任理由説明を受けて、「隼さん。こんな理由で山雅を離れてどこをどう変えれると思ってEAに就任したんですか?大切なのは何年かかっても変わるまで言い続ける事、やり続ける事なんじゃないんですか?山雅のファン、サポーターの事を本気で思うなら今の仕事全部辞めて山雅一本で内部から変えてください!僕も力になりますので」と訴えていた。

 また高崎氏と同じくOBの玉林睦実氏は、8月4日深夜に「俺が選手だったら動揺する」と投稿。「本当にクラブだけのことを考えてるんだったら今ではない、ましてや今日じゃない」と、訴訟報告のタイミングに異論を唱えていた。