セリエA ナポリ

モウリーニョの策略を凌駕。ローマを苦しめたナポリの主将【セリエA試合分析】

ナポリ FWビクター・オシムヘン 写真:Getty Images

ナポリは攻守ともに洗練されたチームに

ナポリの勝因をもう一つ挙げるとすれば、ローマに引けを取らない緻密なハイプレスだ。

ローマが自陣後方でボールを保持するやいなや、イルビング・ロサノ、オシムヘン、クビチャ・クワラツヘリアの3トップが、相手の3バック(ロジェール・イバニェス、クリス・スモーリング、ジャンルカ・マンチーニ)を目掛けてアプローチ。最終ライン付近でボールを受けようとしたローマのインサイドハーフ、ブライアン・クリスタンテにはジエリンスキが張り付き、ビルドアップの中継ポイントを封じた。

ローマの2トップ、アブラハムとニコロ・ザニオーロへのロングパスは、キム・ミンジェとファン・ジェズスの2センターバックが封殺。この2人が最終ラインの背後のスペースも危なげなくケアしたことで、ローマに付け入る隙を与えなかった。

ナポリ ルチアーノ・スパレッティ監督 写真提供:GettyImages

世界屈指のファンタジスタ、故ディエゴ・マラドーナ氏が在籍していた1986年以来となる、公式戦11連勝を達成したナポリ。

昨シーズンより指揮を執っているルチアーノ・スパレッティ監督のもとで、自陣後方からのパスワークが多彩に。ロボツカ、ジエリンスキ、エンドンベレ、アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサらをはじめとする、基本布陣[4-1-2-3]の3セントラルMFによる流動的なポジショニングで、相手にプレッシングの的を絞らせていない。

また、今節のように彼らがマンツーマン守備に遭った場合は、サイドバックがハーフスペースに立ってビルドアップや敵陣でのパスワークを手助け。ディ・ロレンツォやマリオ・ルイがこの動きを得意としており、今やナポリの攻撃の潤滑油になっている。オシムヘン、ロサノ、クワラツヘリア、ジャコモ・ラスパドーリ、ジョバンニ・シメオネらの豪華FW陣へ確実にボールを届ける術が整えられているのが、“スパレッティ・ナポリ”の特長だ。

今シーズンのセリエAでスタートダッシュに成功し、首位の座をキープ。UEFAチャンピオンズリーグの決勝ラウンド進出も確定させた南イタリアの名門が、何か偉業を成し遂げるかもしれない。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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