Jリーグ ガンバ大阪

ガンバ大阪、近年の低迷や監督交代の是非は?4つのポイントで検証する再建計画

ブラジル人FWバレー(2007-2008ガンバ大阪所属)写真提供:Gettyimages

3)攻撃サッカーはもう10年近く体現されていない

今季のG大阪は前線に大型補強がなされたことで攻撃サッカーの復活を期待されてきた。しかし、彼等は3冠を達成した2014年も含めて、もう10年近く攻撃サッカーを体現できていない。

実際チームの総得点数も、全34試合制のJ1リーグで60得点を超えたのは、J2降格を喫した2012年の67得点が最後である。また、1シーズンでリーグ20得点以上を記録した選手を探すと、2007年に20ゴールを挙げたブラジル人FWバレーまで遡らなければならず、2016年と2020年に至っては二桁ゴールを記録した選手さえ存在しなかったほどだ。

スタイルや内容云々はあるにせよ、1試合平均2得点を10年近く記録しておらず、1人で20ゴールを期待できるストライカーも不在のチームに、攻撃サッカーの復活を期待するのは相当なハードルの高さである。


ガンバ大阪MF井手口陽介 写真提供:Gettyimages

4)倉田・井手口・宇佐美のパフォーマンス改善

最後に、現在のG大阪が本当の意味で復調するためには、主力選手が本来のパフォーマンスを取り戻さないかぎりは難しい。

特にチームの不振が続いたここ数年も孤軍奮闘してきた、MF倉田秋の進撃が止まったことが痛い。近年はインサイドMFやボランチなどでプレーすることも多くなり、球際での競り合い強化のために筋力増量を図った模様。これが完全に悪い方向に出ており、昨年のコロナ禍以降は“重い”選手になってしまった。決して運動量が減っているわけではないが、小回りが利かずに従来の縦横無尽ぶりが消えてしまっているのが心配だ。

また、ゲームメイクを強く意識して中盤に下がってくるFW宇佐美貴史とプレーエリアが被ってしまう現象も多くあり、お互いに持ち味を相殺してしまっている。ちなみに宇佐美は守備面で弱点を指摘されることが多いが、現在は守備面では逆に問題はない。むしろ、前線での守備からボールを奪取する回数も多いほどだが、器用貧乏に陥ってしまっている印象だ。

そして、攻守にダイナミックさが売りのMF井手口陽介はスペースが狭いポジショナルな攻撃では迷いが生じる場面が多く、“並みの選手”になってしまっている。絶対的な主力であるはずの彼等3人はG大阪の下部組織出身で代表経験者なのだが、実はポゼッション型のチームではあまり機能したことがない。

宮本前監督は3バックを採用する際、攻撃時に縦に5分割した各レーンに1人ずつの選手配置を意識させ、位置的優位や個の優位性を活かすポジショナルプレーの要素を導入していたように見えた。しかし、彼等3人にはその意図が上手く伝わっていなかったのか?窮屈そうなプレーが目立っていた。カウンター型のサッカーに切り替えて以降は3人の個性が単発的には上手く出せていたが、それだけでは物足りないのも事実だ。

従来のG大阪のパスサッカーは、遠藤保仁(現ジュビロ磐田)の類まれなる個性と才能から派生された代物だったのか?宇佐美や倉田、井手口の個性を活かす術は、どのような攻撃サッカーにあるのだろうか?再検証が必要である。

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