代表チーム ワールドカップ

歓喜から悲劇へ。それでも危機を乗り越えて未来への土台を築いた日本代表の戦い

著者:チアゴ・ボンテンポ(翻訳者:マリオ・カワタ)

 歓喜、悲しみ、フラストレーション、そして誇り。日本サッカー史上最も重要な試合でサムライブルーのサポーターが経験したのは、実に様々な感情だった。勝利によって実現する初めてのワールドカップ準々決勝進出は、目の前だった。後半途中の時点で、日本はただ優勝候補のベルギーを2-0でリードするだけでなく試合を完全にコントロールしていたのだ。日本のほぼ完璧な組織的なパフォーマンスにベルギーは衝撃を受け、追い込まれていた。準々決勝進出は日本の手の中にあったが、運命はそれを許さなかった。信じられないことに全ては崩れ去り、90分のホイッスルが鳴る前の最後のプレーで失点を喫して試合は敗北に終わった。次のラウンドに限りなく近づいた日本代表は失望と同時に、ロシアでの戦いに誇りも感じているだろう。彼らは大会への準備期間中の危機とカオスを乗り越え、世界の強豪と互角に渡り合えることを示したのだから。

 西野朗は極端な監督だ。キャリアの序盤には守備的過ぎると批判され、10年を過ごしたガンバ大阪では日本で最も攻撃的なチームを作ってタイトルを獲得。日本サッカー協会の危機に対する火消し役として急遽担ぎ出された代表では、ギャンブラーとしての顔を見せた。大きな変化を与える時間がない中で、西野監督は次々とリスキーな手を打っている。ヨーロッパで好調だった若手選手(中島、堂安、森岡、久保)を招集せず、ベテランを優先したことは私を含め多くの人々に批判された。そして親善試合でのネガティブな結果によって、悲観的な見方はさらに広がっていった。

 やっとポジティブなサインが現れたのは、4-2で勝利した最後の親善試合パラグアイ戦だった。この試合で香川はやっと好調を取り戻し、柴崎は2人目のボランチのポジションを掴んでいる。乾は宇佐美と原口に次ぐ中盤左サイドの3番目のオプションにしておくのは間違いであることを証明し、昌子も自身の価値を示した。控えの立場だった4人の選手が最後のタイミングで先発に昇格し、全員が仕事をやり遂げた。西野監督はこの的確な選手起用で、スターティングイレブンを見つけることに成功した。

 さらにチームは素晴らしいパフォーマンスによるコロンビア戦の2-1の勝利とセネガル戦の2-2の引き分けで、見る者全てを驚かせた。気温37度の暑さの中で行われ敗れたポーランド戦ではレギュラーの半分を休ませ、終盤には他会場の結果とイエローカード数に頼って0-1のスコアを守りに入る采配で、日本のファンを心臓発作直前にしている。それは最もリスクの高い賭けだったが、西野監督はそれにも勝った。

Previous
ページ 1 / 2