著者:マリオ・カワタ
「彼は我々の攻撃を活性化するだろう」
16日、大迫勇也の移籍を正式発表したブレーメンのフランク・バウマンSDは、大きな期待感を口にした。2014年にドイツ南部のミュンヘンで欧州でのキャリアをスタートさせた日本代表ストライカーは、4シーズンを過ごしたケルンから更に北上し、北海に近いブレーメンに活躍の場を移すことになる。
ケルンの2部降格が2週間以上前に決まっていたとはいえ、リーグ最終戦から4日後の移籍決定は実に素早いものだった。ブレーメンの他にもハノーファー、来季1部昇格を決めたフォルトゥナ・デュッセルドルフが獲得に乗り出していたとされ、リーグ戦終了を待たずに争奪戦が勃発したことは大迫への評価の高さを物語っている。
またワールドカップの日本代表に選出されることが確実な大迫にとっては、これでピッチ外の心配をせずに大舞台に臨めることになる。実際に正式発表の前日にメディカルチェックを済ませると、大迫は移籍発表の会見を待たずに帰国の途についた。今月末に本大会のメンバーが発表される代表での活動に向けてコンディションを整えるため、1日も無駄にはしたくないということだろう。
主力を引き抜かれケルンのチーム力が落ちた今季は、大迫にとっても5位でフィニッシュし自身も7得点を挙げた2016/17シーズンに比べて厳しい1年間だった。開幕から16試合勝ちなしという壊滅的なチーム状況の中、大迫もシーズン前半はリーグ戦でわずか1得点。それでも年が明けるとチームと共に徐々に調子を上げ、3得点2アシストを記録した。新天地となるブレーメンとの3月の対戦でも、ゴール前で巧みにボールをコントロールし左足で強烈なシュートを叩き込んでいる。
大迫のケルンとの契約には2部降格の場合に一定の金額で移籍できる条項があり、ブレーメンは約600万ユーロ(約7億8000万円)を支払うという。4年前に1860ミュンヘンから加入した際の移籍金が約160万ユーロ(約2億円)なので、クラブにとっても悪くないビジネスだ。一方でブレーメンのバウマンSDは以前から大迫に注目していたが、好成績を収めた2016/17シーズン後には獲得が現実的でなかったことを認めている。
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