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攻撃力が課題のブレーメンが大迫勇也に掛ける大きな期待。中盤で起用の可能性も?

ケルンで4シーズンを過ごした大迫勇也 写真提供:Getty Images

 新シーズンの幕開けはまだ先の話になるが、新天地での大迫にはどのような役割が期待されるのだろうか。

 今季を11位で終えたブレーメンはリーグ4位の40失点の堅守を誇る一方、得点数は降格チームとほとんど変わらない37で(最下位のケルンは35得点)、攻撃力に課題が残った。

 そのためこの夏の補強の最初のターゲットとして獲得に動いたのは、大迫と同じケルンに所属する元ドイツU-23代表FWレオナルド・ビッテンコートだった。しかしビッテンコートはチャンピオンズリーグに出場するホッフェンハイムへの移籍を選択し、ブレーメンは大迫獲得への動きを加速させることになった。またニュルンベルクからは攻撃的MFケビン・メーバルトも獲得しており、積極的に前線の補強を進めている。

 昨年10月から指揮を執るフロリアン・コーフェルト監督は、主に4-3-3の布陣を採用している。3トップのセンターは元ドイツ代表のマックス・クルーゼで、彼の立場は来季も揺るがないだろう。昨季の15得点から今季は6得点と数字を落としたがクラブの顔と言える選手であり、大迫はセンターフォワードとしては2番目以降のオプションになるはずだ。

 クルーゼの両脇にはアルジェリア代表イシャク・ベルフォディル、キャプテンの元オーストリア代表ズラトコ・ユヌゾビッチ、コソボ代表ミロト・ラシカ、オーストリア代表フロリアン・カインツといった選手たちが起用されてきた。大迫が主に起用されるのはこのポジションになるだろう。ベルフォディル、ユヌゾビッチは今夏での退団が決定しており、大迫の獲得はその穴埋めとしての意味合いも強い。

 またドイツではフォワードだけでなく攻撃のユーティリティプレーヤーとして見られている大迫は、中盤の攻撃的なポジションで使われる可能性もある。実際にバウマンSDは大迫の特徴として技術の高さとともに「柔軟性」を挙げ、セカンドストライカーやセンターフォワードの他に、中盤の『8番』やサイドでもプレーできるとしている。

 コーフェルト監督も「彼はとてもクリエイティブで、ギャップのスペースでの動きがうまい。さらに決定的なパスを出せ、彼自身もゴールを奪うことができる」と語っており、その多彩な武器を評価している。

 近年は二桁順位が定位置となっているブレーメンだが、ブンデスリーガ優勝4回を誇る古豪であり、80年代には欧州における日本人選手の先駆者・奥寺康彦氏が活躍したことでも知られている。攻撃の起爆剤として、32年ぶりにやってきた2人目の日本人に掛かる期待は大きい。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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