ラ・リーガ バレンシア

スペインのローカルダービーを巡る旅:バレンシア・ダービー編

ビジャレアル

ビジャレアル(右)の王冠はレアル・ベティス(左上)、レアル・ソシエダ(左側右下)、レアル・マドリード(左側左下)の王冠とデザインが違う 写真提供:Getty Images

 王の町を黄色く染めるイエローサブマリン

 現在エジプト代表の監督を務めているエクトル・クーペルに率いられたチームには、他にもガイスカ・メンディエタ、キリ・ゴンサレスがおり、2000年にはロベルト・アジャラ、ルベン・バラハ、パブロ・アイマールが加入した。

 いずれのファイナルも敗れたバレンシアだったが、2001/02シーズンにはラファエル・ベニテスが監督に就任して31年ぶりのリーグ優勝を達成。2003/04シーズンにも優勝し、輝かしい2000年代前半を過ごした。今では懐かしい栄光だ。

「デルビ・バレンシアーノ」はバレンシアと、同じバレンシアに本拠地を置くレバンテとのローカルダービーだ。しかし近年力をつけてきた、“イエローサブマリン”がこの間に割って入ってきている。

 ビジャレアルCFはバレンシアから60キロほど離れたビラ=レアルに本拠地を置くクラブだ。この町の「ビラ=レアル(Vila-real)」という名前は、バレンシア語の表記であり、「王の町」を意味する。クラブ名のビジャレアルは、それをスペイン語読みしたもの。

 スペインのフットボールクラブには、「レアル」の名を冠するものがいくつかある。それはいずれもどこかの時代で王様の庇護を受けたクラブである証だ。そしてそのクラブはいずれも、エンブレムに同じ王冠をあしらっている。しかし同じ、「レアル」の名を冠するビジャレアルのエンブレムにあしらわれた王冠は、他のクラブのものとは違う。これはアラゴン王の王冠であり、ビラ=レアルがアラゴン王のジャウマ一世(ハイメ一世)によって建設されたことに由来する。ジャウマ一世はイスラムが支配していたバレンシアの土地を征服した(レコンキスタ)張本人である。ビジャレアルのエンブレムは、この土地の歴史を強く感じさせるものなのである。

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