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柏GK中村がJ最高の選手である理由。日本代表で川島の後継者になりうる存在に

日本代表でも川島の後継者になりうる存在

日本代表の守護神GK川島永嗣 写真提供:Getty Images

 中村はシュートストッパーとしての活躍が最も輝かしいが、ポジショニングや周囲への意識も素晴らしい。もし欠点を挙げなければならないとするならば足元のスキルだろう。前ミルトン・メンデス監督が柏での短い就任の間にすでに警告していた。キックの精度があまり良くなく、試合中足を使う必要があるときには問題となる可能性がある。浦和戦でもその例は垣間みられた。素早くカウンターをセットアップしようと前線のクリスティアーノに中村からボールが思い切り蹴られたとき、ボールはサイドラインへとターゲットから数メートル外れてしまった。

「西川なら絶対に外さないでしょう!」と、すかさずテレビのコメンテーターが言ったが、それは正しい。浦和のGK西川周作はシュートストッパーとしてはまずまずも、キックの精度が素晴らしい。カウンターアタックを仕掛ける上で大事なことであり、その点では中村よりも優れていることは間違いない。しかしながら、キックの精度よりもはるかに重要なゴールキーパーの特性があるのだ。

 個人的に、2016年のオリンピック期間、手倉森誠監督がエラーの多い櫛引政敏を背番号1の正GKとして頻繁に起用したことには驚いた。櫛引が中村より優れていたのはキックの精度だ。それから2センチ身長が高かった。櫛引は現在ファジアーノ岡山(J2)の2番手となり、今やどちらが優れているかは明らかだろう。

 ここまできても、柏はタイトル獲得の本命チームとはならない。しかし、2011年に彼らが勝利したときも同様であった。実際に本命がJリーグチャンピオンとなることは稀である。もっと稀なのは、ゴールキーパーがMVPを獲得することだ。過去には1度だけ、2010年に楢﨑正剛が獲得している。2013年に西川が獲得していれば、ここまで不合理なことではなかっただろう。中村、柏がこのペースを維持すれば、新たなゴールキーパーのMVP獲得を実現する可能性がある。

 初めてユースではない日本代表に招集され、中村にはさらに高いレベルで自身を試すチャンスができた。もちろんすぐにスタートとはいかないだろう。川島永嗣が「SAMURAI BLUE」とFCメスでの最近のパフォーマンスから(当然ながら)背番号1の正GKを維持すると思われる。しかし、川口能活、楢崎、川島などのレジェンドGKらが今後の立派な後継者を得ては、日本のサポーターも安心できることだろう。

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