対4-4-2攻撃編
札幌でもミハイロ・ペトロビッチは4-4-2に対して強いチームを作り上げた。数的優位な後方のビルドアップからサイドよりに楔(チャナティップ・ソングラシンかアンデルソン・ロペス。)を入れて、逆サイドのWB(幅を取っている選手)に展開。4-4-2に対して有効な攻略法だ(中盤を空洞化させたときは展開を宮澤がこなす場面も)。これを可能にするチャナティップとロペスのキックの精度も素晴らしい。サイドに展開してからは、第1節、第2節よりもスペースにクロスを供給する意識が強かった。ディフェンダーとしては対応のしづらい攻撃である。ただ、そのクロスに合わせる側の選手がまだ慣れきっていないような動きを見せていたため、改善の余地はある。ただ、短いスパンで改善策を打ち出し、行動に起こしたことは大きい。また、ルーカス・フェルナンデスがこの段階でフィットし、存在感を示していることもプラスに働いている。WBに仕掛けることのできる選手がいると強力だ。後半は前線に人を数枚残して、カウンターからの前線の枚数を活かしたカウンターを展開。状況に応じて戦い方を変えることができている。
対4-4-2守備編
序盤は3-4-2-1の形でで、2シャドーが2ボランチを見る形でディフェンス。ただ、鈴木武蔵が左を見る割に、ロペスが内側を気にしすぎたこともあり、右サイドの数的不利なところで起点をつくられてしまった。ただ、その後はオーガナイズに変更を加えて解決。ロペスの守備時の個人戦術の部分が向上すれば、1つ目の選択肢として用意してきたプランを崩さずに戦えるようになるだろう。また、オーガナイズ変更後に、押し込まれた際に人をつかめる意識が強すぎて、中央のスペースをがら空きにする場面があった。人が動いていく中で、それぞれが埋めなければいけないスペースを共有する必要がある。
柔軟なオーガナイズ変更とそれを可能にする選手の質
ロペスの外側で数的不利となり、起点とされる場面が多かった札幌は、チャナティップを1列下げて、その後ろからチャナティップが付いていないほうのボランチに荒野がプレスをかけにくるオーガナイズに変更。これにより、アンデルソン・ロペスの守備負担が減り、判断にエラーが出にくくなった。サイドでの起点つぶしをしっかりと行えたと言える。人数的な有利不利、選手の現状の能力をしっかりと把握し、事前に用意してきたプランだろう。試合の中でオーガナイズを変えると、マークや人の受け渡しにずれが生じることが少なくない。ただ、札幌はそのミスが少なかった。
セットプレーのディフェンス
ロペスを人に付かせるのは危険かもしれない。松原后の得点を許した場面は、彼がマークを外してしまった。その後の清水のセットプレーでも松原に付いていたため、チームとしての決まり事だろう。ただ、失点以降のセットプレーでも付ききれない場面が多かった。マーカーを変えるかなど、解決策が必要だ。
ハイプレスに対する対応
第1節の湘南ベルマーレ戦で、高い位置からのプレスに対して、ロングボールを選択し、前線が収めきれずに回収される場面が目立った札幌。4-4-2の形から高い位置でハメこむことに長けた清水戦でもそれは懸念事項だった。しかし、清水相手にはしっかりとボールをつなぎ、ロングボールに逃げる場面はほとんどなかった。
鈴木武蔵のスピード
数年前から彼のスピードは期待されていたが、ここまでのふるまいを見る限り、彼はそれを自分のものにしている。スピードを生かすためのボールの受け方や、受けた後のシュートまでのイメージがしっかりしているため、自身の長所を無駄なく使えている。それがゴールとPK獲得に繋がっている。
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