
アヤックス所属の日本代表DF板倉滉は、DF冨安健洋と同じく今夏移籍が決定的。FIFAワールドカップ北中米大会での日本代表入りが濃厚とみられるなか、ブンデスリーガ方面からの関心も浮上しているが、同選手の起用法が再び議論の対象となっている。
問題の核心は、単なる「出場機会の不足」ではない。今季、板倉は21試合に出場しており、そのうち19試合でスタメン入り。数字だけ見れば「使われている」と映るかもしれない。だが、その内実は深刻だ。今年に入ってからは出場機会が激減している。くわえて、一時は本職であるセンターバックではなくアンカー(守備的ミッドフィールダー)としての起用が続いていた。
アヤックスの中盤は構造的な人材不足を抱えており、フレッド・グリムおよびオスカル・ガルシアの指揮下で純粋なアンカーが不在という事情が背景にある。ユリ・レヘールは成長を見せていたが現在は負傷中、ヨルティ・モキオはインサイドハーフタイプの選手だ。そのしわ寄せが、板倉に向かっている。
ボール保持時、ライン間でプレーする局面で板倉がまったく快適にプレーできていないことは、現地の目の肥えたファンにも明白だ。適性外のポジションに押し込まれた選手が、本来の力を発揮できるはずがない。これはチーム編成の失敗であり、板倉個人の問題ではない。むしろ、クラブ運営の歪みを一選手が全身で引き受けている構図とも言える。
オランダメディア『VI』は以前、板倉が「プレータイム不足を理由にアヤックスで不満を抱いている」と報道。さらに「自身の起用法を巡り、監督に意見をぶつけた」とも伝えていた。
一方で、アヤックスはセンターバックの再編に本格的に動き出している。
ジョルディ・クライフは来季に向けて10〜15人の補強と大規模な放出を計画しているとされ、ここ数日で2名の新たなセンターバック獲得候補が浮上した。エマニュエル・フェルナンデス(レンジャーズ)とアブデルハミド・アイト・ブドラル(スタッド・レンヌ)である。フェルナンデスは左センターバックとして台頭し複数ポジションに対応可能、ブドラルは右サイドでの経験が豊富な右利きの選手だ。2選手の共通点は「右利き」であること。ユリ・バースの隣を担えるプロフィールを持つ人材が、板倉の「後釜」として名指しで検討されている。
この事実が何を意味するか。言うまでもない。
2029年夏まで契約を残しているにもかかわらず、板倉の立場は「放出候補の筆頭格」に名が挙がる。スータロ、フェルシューレンとともに現実的な退団候補として列挙されている。本職であるセンターバックとしての出場機会が限られているが、記事では「今冬にはすでにドイツからオファーが届き、退団の可能性もあった。今夏も関心が寄せらている」と記されている。
なお、板倉の市場価値は1300万ユーロ(約24億円)。適性外のポジションで消耗させられ、クラブの都合で放出リストに並べられている。「選手を正しく使えなかったクラブの責任」という視点が、今後の移籍交渉においてどこまで反映されるか。少なくとも板倉がアヤックスの選手編成の犠牲になっていることは確実だ。
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