Jリーグ 水戸ホーリーホック

J2首位・水戸関係者が指摘!RB大宮戦の急病人対応巡り「Jリーグとして…」

水戸ホーリーホック 写真:Getty Images

 明治安田J2リーグ第36節の水戸ホーリーホック対RB大宮アルディージャが11月9日に開催。J2首位の水戸がJ1昇格争いのライバルをホームで迎え撃つ大一番では、急病人が発生して試合が一時中断したが、水戸のクラブ関係者がその時の状況やJリーグの課題について説明している。

 水戸のアスレティックトレーナーである前田裕章氏は、試合後にインスタグラムを更新。急病人が発生した時の状況について「主審からメディカルチームが呼ばれた際は、何が起きているのか分かりませんでしたが、緊急事態だと判断し、AEDとメディカルバッグを持ってすぐに走り出しました。走りながら「心肺停止だった場合」「頭部を強打していた場合」など、想定される対応を頭の中で整理していました。また、DAZNの中継や多くの観客の前での対応になるため、可能であれば目隠しが必要だとも考えていました」と振り返っている。また、同氏は現場での対応、救護・搬送、引き継ぎについて以下のように説明した。

 「現場に到着すると、観客席にいた医療従事者と思われる女性がすでに倒れた方の状態や脈を確認してくださっていました。倒れていた場所が階段の途中だったため、下の平らな通路に移動させてからチームドクターに診てもらう方が安全と判断し、周囲の方に協力をお願いして通路まで移動しました。その際、周囲の観客の方々も「助けたい」という気持ちが強く、やや混乱していたため、医療従事者や担架係以外の方には下がっていただくよう声をかけました」

 「チームドクターが急病者の状態を確認している間も、先ほどの女性が的確にサポートしてくださり、非常にスムーズに状態確認が進みました。また、別の観客の方がすでに119番通報をしており、簡単な状況を伝えてくださっていたため、チームドクターが把握した情報を追加するだけで済みました。多くの方の協力によって円滑に対応できたことに感謝しています。同時に、緊急時に冷静に行動することの大切さを改めて感じました」

 「搬送時は試合の担架係の方々が迅速に駆けつけてくださり、スムーズに移動することができました。運営スタッフも素早くブルーシートを用意し、観客の視線から隠して搬送することができました。今回は比較的近距離で段差も少なかったため担架係のみで対応できましたが、大きなスタジアムや段差の多い場所では、交代要員の確保なども検討が必要だと感じました」

 「救急車が進入できるエリアまで搬送する途中、道路付近で待機しようとしていましたが、小雨が降っていたこと、担架での姿勢が不安定だったことから、入場ゲートのテント下で待機するよう提案しました。結果的に、その場所でブルーシートを使ってプライバシーを確保しながら、ドクターの処置を続けることができました。ただ、観客席側の構造や動線については十分に把握していなかったため、ホームスタジアムだけでも事前に確認しておくべきだったと思いました」

 「救急車が到着するまでに急病者の状態が落ち着き、チームドクターとトレーナー2名で会場ドクターに引き継ぎを行い、ピッチに戻りました。今回の事例では、試合を中断して対応できたことで、迅速かつ安全に救護・搬送を行うことができたと思います」

 当時の状況について事細かに説明した前田氏だが、急病人発生時の対応に当たる中で、Jリーグやクラブ等が向き合うべき課題を感じたという。「スタジアムで急病者が出た際、試合中のチームスタッフが対応にあたるという点」について、「もし今後も同様の対応が求められるのであれば、Jリーグとして統一的なマニュアルを作成し、メディカルスタッフ向けの研修を実施するなど、正式な対応体制を整える必要があると感じました」と指摘している。

 くわえて同氏は「スタジアムの救護体制自体はJリーグとして整備されていると思いますが、理想は試合を止めずとも、観客が安全に処置・搬送を受けられる体制が確立されることだと思います。そのような環境が整えば、観客にとってもより安心・安全なサッカー観戦が可能になると感じました」と私見を述べている。