
サンフレッチェ広島(2012年)
2012年のJ1は、東日本大震災からの復興を背負ったベガルタ仙台が快進撃を見せ、第2節から第17節まで首位を走った。堅守速攻を武器に勝ち点を重ねる姿は多くの人々に希望と勇気を与え、スタジアムには熱い応援が絶えなかった。
しかし夏から秋にかけて失速。試合終盤の失点などで勝ち点を取りこぼすようになる。その隙を突いたのがサンフレッチェ広島だった。森保一監督(現・日本代表監督)のもと、MF森崎浩司(1999-2018)やMFミキッチ(2009-2017)、そしてエースFW佐藤寿人(2005-2016)を中心に攻撃的サッカーを展開。相手の背後を突く鋭い速攻や精度の高いセットプレーで着実に勝点を積み重ね、第18節に首位へ浮上した。
その後、仙台に一時首位を奪われるも、9月25日の第25節で再びトップに返り咲く。緊迫した接戦をものにする勝負強さを発揮し、サポーターを歓喜に包みながら首位を守り抜いた。
最終的に広島は仙台を上回り、クラブ史上初となるJ1優勝を達成。仙台にとっては夢破れる結果となったが、この逆転劇は広島の歴史を塗り替える大きな転機となった。その後の広島は、戦術の柔軟性と成熟したチーム力を武器に、Jリーグの新たな強豪として確固たる地位を築いている。

川崎フロンターレ(2017年)
川崎フロンターレは2000年代以降、常に上位争いに加わりながらも、2006年、2008年、2009年、2016年と幾度も2位に終わり「シルバーコレクター」と揶揄されてきた。長年の悔しさはクラブの課題であると同時に、タイトル獲得への強い執念へと変わっていった。
2017年も序盤から鹿島アントラーズが首位を快走し、川崎はFW小林悠(2010-)MF中村憲剛(2003-2020)、MF家長昭博(2017-)らを中心に追走する展開が続いた。なかなか首位を奪えずにいたが、秋以降は攻撃陣が爆発。中村の的確なパス、家長の突破力と小林の決定力がかみ合い、チームは連勝を重ねていった。
そして迎えた最終節。鹿島が磐田とスコアレスドローに終わる一方、等々力陸上競技場で大宮アルディージャと対戦した川崎は、小林のハットトリックを含む5対0の圧勝で勝点を積み上げ、ついに鹿島を逆転し、クラブ創設以来初のJ1制覇を成し遂げた。スタンドを埋め尽くしたサポーターは、長年の悔しさを晴らす歓喜と涙に包まれた。
この逆転優勝は、川崎が黄金期を築く礎となった。中村を中心としたチームの成熟と戦術的柔軟性により、クラブはJリーグの勢力図を塗り替える存在へと進化していった。
逆転優勝が象徴するJリーグのドラマ
2005年G大阪、2006年の浦和、2012年の広島、2017年の川崎。いずれも首位クラブを終盤にかわし、歓喜をつかみ取った逆転劇があった。勝ち点の状況だけを見ると優位に見えても、プレッシャーの中で結果を残すのは容易ではない。優勝目前に崩れるチームがある一方、最後まで粘り強く戦い抜き栄光をつかむチームもある。
2025シーズンも、優勝争いは秋に向けて熱を帯びている。過去の歴史が示すように、勝ち点差があっても最後まで何が起こるかはわからない。新たな逆転劇が生まれるかもしれないという期待が、Jリーグの秋を一層白熱させる。
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