
2025シーズンのJ3リーグは第22節を終え、ヴァンラーレ八戸が勝ち点46で首位に立っている。八戸は2019シーズンのJ3参入以来、2023シーズンの7位が最高成績だったが予想だにしない展開に。
2位のFC大阪(勝ち点44)と3位の栃木シティ(勝ち点44)が僅差で追走し、昇格争いは熾烈を極める。4位鹿児島ユナイテッド、5位テゲバジャーロ宮崎、6位奈良クラブまでが昇格プレーオフ圏内に位置し、終盤戦に向けて各クラブの戦いはさらに激しさを増しそうだ。
一方、下位では、JFL降格を回避するためのサバイバルゲームが繰り広げられている。
ここでは、J3リーグのレギュレーション(上位2クラブがJ2自動昇格、3位から6位までが昇格プレーオフ進出、最下位がJFL降格、19位がJFL2位クラブとの入れ替え戦出場)に基づき、シーズン終盤戦の行方を展望する。

2025シーズンJ3リーグ第22節終了時点順位表
(順位/チーム名/勝ち点/得失点差)
- ヴァンラーレ八戸/46/+16
- FC大阪/44/+19
- 栃木シティ/44/+13
- 鹿児島ユナイテッド/38/+12
- テゲバジャーロ宮崎/35/+5
- 奈良クラブ/34/+4
- ギラヴァンツ北九州/33/+2
- 高知ユナイテッド/31/-3
- 松本山雅/29/-2
- ガイナーレ鳥取/28/-3
- SC相模原/27/-4
- 福島ユナイテッド/27/-12
- FC琉球/26/-3
- ツエーゲン金沢/26/-4
- 栃木SC/26/-4
- ザスパ群馬/24/-4
- AC長野パルセイロ/24/-8
- カマタマーレ讃岐/20/-7
- FC岐阜/19/-12
- アスルクラロ沼津/18/-5
全38節残り16試合の中、上位3チームがやや抜け出し、下位3チームが後れを取っている印象だ。しかし中位にいるチームも連勝すれば昇格争いに加われる半面、連敗を喫すれば一気に残留争いに巻き込まれてしまうほどの大混戦である。
JFL降格となれば、再度J3に昇格するのは容易ではない。実際、昨2024シーズンJ3最下位で自動降格したいわてグルージャ盛岡は、JFL第18節終了時点で16チーム中8位。J3/JFL入れ替え戦で敗退したÝ.S.C.C.横浜に至っては、13位に沈んでいる。JFL降格は、場合によってはクラブの経営や存続に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

J2自動昇格争い:八戸とFC大阪がリード
首位ヴァンラーレ八戸の石﨑信弘監督は2023シーズンから指揮を執り、J1・J2・J3、さらにJFLを含めると通算12クラブ目での監督経験を持つ。八戸は第22節終了時点で失点わずか15とリーグ最少を誇り、この堅守が快進撃の最大の要因となっている。得点は31と突出した数字ではないものの、14勝4分4敗と安定した成績を残し、派手さはなくとも確実に勝ち点を積み重ねている。
石﨑監督はJ2のモンテディオ山形(1995-1998)で監督キャリアをスタート。その後、大分トリニータ(1999-2001)、川崎フロンターレ(2001-2003)でも指揮を執り、それぞれ勝ち点1差で昇格に失敗した。しかし、チームの土台作りには定評があり、柏レイソル(2006-2008)、北海道コンサドーレ札幌(2009-2012)、そして2度目の山形(2014-2016)では、J2に降格していたクラブをJ1復帰に導いた経験もある。
八戸は、3月にルヴァン杯を1回戦で敗退し、5月に青森県大会決勝でJFLのラインメール青森に敗れて天皇杯出場権を逃したが、リーグ戦に集中できる環境が整ったと、今ではポジティブに考えることもできるだろう。
一方、攻撃的サッカーで2位に付けるのがFC大阪だ。得点数35はリーグ2位タイ、得失点差では八戸を上回る+19を記録している。特にホーム戦に強く、花園ラグビー場では未だ負けなし(9勝3引き分け)。その攻撃力は他チームにとって大きな脅威だ。
これら2クラブは、異なるアプローチで自分たちのストロングポイントを理解し、それを最大限に生かした戦術を貫いている。3位の栃木シティも勝点44でFC大阪と並ぶが、得失点差でわずかに及ばず。4位の鹿児島ユナイテッドが勝ち点38であることから、残り16試合、この4チームが中心となってJ2自動昇格を争う展開になることが予想される。

プレーオフ圏争い:3位から11位までが混戦
昇格プレーオフ進出圏となる3位から6位を巡る争いは、自動昇格争い以上に混沌としている。現在3位の栃木シティ、4位の鹿児島ユナイテッド、5位のテゲバジャーロ宮崎、6位の奈良クラブが、現時点でプレーオフ圏内だが、勝ち点差は非常に小さく、1つでも星を落とせば順位が大きく変動する。
残り試合が16試合あることから、現在2桁順位にいるチームにもまだまだチャンスが残されている。特に注目すべきは、7位以下の追い上げだ。7位のギラヴァンツ北九州から11位のSC相模原までは、わずか6ポイント差の中に5チームがひしめいている。
北九州はここまで10勝を挙げるも、3引き分けと9敗を喫しており、得失点差も+2と戦いぶりが安定しない点が課題だ。逆に、相模原(6勝9引き分け7敗)は引き分け数が多く、勝利に繋がらない試合が目立つ。しかし天皇杯では8強に進出した底力があり、負け試合を引き分けに、引き分けを勝利に持っていくことが出来れば、一気にプレーオフ圏内に浮上するポテンシャルを秘めている。
この混戦を制するためには、今後の対戦相手やチームの調子が鍵となるだろう。上位チーム同士の直接対決“6ポイントマッチ”で勝ち点を奪い、下位チームとの試合で取りこぼさないことが、プレーオフ進出への絶対条件となる。
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