
MF田中聡(サンフレッチェ広島)
MF中島洋太朗、FW中村草太と若手が躍動し、上位戦線を賑わせているサンフレッチェ広島。若手選手の中から出場時間が最も長いMF田中聡を挙げたい。
下部組織出身選手が多い広島の中では異色の経歴を経た田中は、長野パルセイロU-15、湘南ベルマーレU-18を経て2021シーズンにトップ昇格。わずか1シーズンではあるが、2022/23シーズンにベルギーのコルトレイクに期限付き移籍している。湘南復帰を経て、今2025シーズン広島に完全移籍するという様々な経験をした22歳だ。
既に欧州移籍を経験しているが、冒頭に示した鈴木唯人の前例があるように、再渡欧を目指しているとしても何ら不思議ではない。
ボール奪取能力に長け、中盤の底から攻守にわたってチームを支えることができ、豊富な運動量と球際の強さが持ち味で、ボールを奪ってから攻撃につなげるプレーを得意としている。湘南の下部組織時代から守備力を徹底的に鍛えられ、プレースタイルを確立した。その姿は湘南OBでもあるリバプールMF遠藤航とも重なる。
広島から欧州へと渡った選手は多いが、一説によると広島は「欧州クラブから獲得オファーが来た場合、本人の意思を尊重し基本的に引き留めない」という契約が存在すると言われている。実際、2024シーズンに湘南から獲得したMF大橋祐紀を、わずか半年でイングランド2部EFLチャンピオンシップのブラックバーン・ローバーズに完全移籍させたことが、噂レベルだったその契約内容の存在を匂わせている。

FW徳田誉(鹿島アントラーズ)
現在、右足骨折で治療中のFW徳田誉だが、小学生年代の鹿島アントラーズつくばジュニアから育った生粋の鹿島育ちだ。世代別の日本代表にも選出されるなど、クラブから将来を嘱望されている選手の1人である。
ユース所属で2種登録で出場した2024シーズンJ1第18節アルビレックス新潟戦で、クラブ最年少出場記録を更新しJ1戦デビューした徳田。
同シーズンJ1第31節サンフレッチェ広島戦では、ゴールに背を向けた状態から振り返りざまに右足でゴラッソを決めJ1初ゴールを記録した。17歳6か月27日での初ゴールは、内田篤人氏が持っていたクラブ最年少ゴール記録を更新しただけではなく、明治安田J1リーグ月間ベストゴールを受賞した。
186センチ、82キロのフィジカルモンスターで、ポストプレーやヘディングも強い。前線でのターゲットとなれるだけでなく、得点感覚にも優れ、左右両足でシュートを放つことが出来る。献身的な守備も彼の持ち味で、現代的なFWに求められる要素も兼ね備えている。
目標とする選手として、鹿島OBの上田綺世(フェイエノールト)の名前を挙げていることから、欧州クラブからオファーがあれば海を渡る可能性もあるだろう。

FW細谷真大(柏レイソル)
2024年のパリ五輪スペイン代表戦で、DFを背負いながら振り返りざまに決めた幻のゴラッソ(かかとが数センチ出ていたためにオフサイド判定)が記憶に新しい柏レイソルFW細谷真大。
彼もまた小学生時代からの柏育ちで、2023シーズンのJ1リーグで14得点を挙げると、オフに日本代表DF板倉滉やFW福田師王を擁するブンデスリーガのボルシア・メンヘングラートバッハからのオファーが報じられたが、柏に残留した。
昨オフにも名古屋グランパスをはじめ、多くのJ1クラブからオファーを受けたが残留。よほどの魅力的なオファーでなければ、欧州クラブといえども「レイソル愛」を貫く細谷を獲得するのは至難の業だろう。
爆発的なスピードを生かした裏抜けを得意とし、ゴール前での嗅覚にも優れ、泥臭くゴールを奪うことも出来る。前線からの積極的なプレッシングで守備への貢献も大きい。当初は線の細さも指摘されていたがプロ入り後にフィジカルを強化し、ポストプレーや球際での強さが年々増している。プレーの幅も広げ、課題だったボールタッチの柔らかさやプレーの判断力も向上した。
今2025シーズン序盤はなかなか本調子が出せなかったが、チームの調子とともにコンディションを上げ、得点という結果も出し始めた。A代表への定着が期待されるだけではなく、現在2位にいる柏にあって仮に逆転優勝となれば、シャーレを置き土産に満を持して海を渡る可能性もあるだろう。
Jリーグ発の数多くの星たちに期待
ここで挙げた5人の選手は、三笘薫や久保建英の系譜を継ぐ可能性のある“ネクストスター”だ。J60クラブは、地域の誇りを背負い、ピッチ上で夢を追いかける若者たちを育てている。各クラブが持つアイデンティティーが、次世代のスターを生み出す原動力だ。
川崎は、三笘をはじめ数多くの選手を欧州クラブに輩出したように、攻撃的なサッカーと若手育成の優秀さで知られる。FC東京は、久保や松木玖生(ギョズテペSK)を欧州クラブに送り出し、早期デビューを促す文化が根付いている。広島やC大阪も技術に長けた選手を育成し、欧州へのパイプを築いている。
三笘や久保の系譜を継ぐ選手には、技術だけでなく欧州での適応力が求められる。久保はスペインでの厳しい評価を乗り越え、成長に繋げた。三笘もプレミアリーグのフィジカルな環境に適応し、出場機会を得た。ネクストスター候補に挙げた彼らには、言語や文化の壁を越えるメンタリティーが不可欠だ。
またJクラブは、若手の流出を防ぎつつ、育成と競争力を両立する必要に迫られている。鹿島や浦和のようなビッグクラブは、若手を起用しつつタイトル争いを続けるバランスが求められている。Jリーグの「百年構想」には、こうした長期的な育成ビジョンも含まれている。
スタジアムに響くサポーターのチャントと、それに応えるようにピッチを走り回る若手の姿。これらが、Jリーグの未来を照らしている。三笘や久保が切り開いた道を、ネクストスターたちがさらに広げることだろう。Jリーグ発の数多くの星たちが、いずれは世界のサッカーシーンで輝き続けることになるのだ。
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