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元Jリーガーの発言で話題。サッカー選手の喫煙について考察

槙野智章氏(左)リオネル・メッシ(右)写真:Getty Images

サッカー選手に限らず、プロスポーツ選手で喫煙が確認された選手は少なくない。そのパフォーマンスやコンディション管理に悪影響しかないようにも思えるが、世界的名選手でも喫煙していた例もある。さらに昨今、かつてのJリーガーたちによるサッカー選手の喫煙率の高さを明かす発言に、賛否が巻き起こっている。

元日本代表DFの槙野智章氏(2022年引退)は、4月30日の深夜バラエティー番組『ひっかかりニーチェ』(テレビ朝日系)に出演した際、「結果を残している人、よく走る人、戦える人は、みんなタバコを吸っていた」「チームでフィジカルテスト、走力テストで上位にくる選手は、ほぼみんな吸っている」と言及。ネット上では「スポーツ選手を目指す子どもに悪影響を与える」と、批判的なコメントが上がった。

また、東京ヴェルディや名古屋グランパス、FC岐阜でゴールキーパーとして活躍し、18年間の選手生活でJリーグ通算238試合に出場した高木義成氏(2017年引退)は、5月5日にX上で「タバコ吸うアスリートなんていくらでもいる」として、下記のように投稿した。

「結果が全て。でもタバコ吸ったら能力上がるみたいなのは違うよな…。面白おかしくもない話だな。それ信じて夢見る子達が吸い出したら大変ね。でも確かにめちゃ走れる人タバコ吸っていたな…。多分吸わなくても走れる人だったんだろう」「私は喘息持ちだったことからタバコに縁がなかったけど、昔は今より吸っている人いたかもね」「もしタバコがアスリートにとって有益な部分があるというエビデンスが出たら…」

さらに、DAZNで現在配信中の“ヒールなサッカー番組”『もりちゃんずコロシアム』第4回目の中では、ゲストのハーフナー・マイク氏が「タバコを吸っている選手が多いチームランキング」という企画を提案。これを受けてMCの見取り図・盛山晋太郎氏は「ハーフタイム中に喫煙所に直行する選手もいるらしい」という噂を明かす一幕も。同番組にリモート出演したJFLいわてグルージャ盛岡MF小林祐希はハーフナー氏とともにオランダ時代を回顧し、「みんなマリファナ(大麻)吸っていた」という真偽不明の噂を口にし、盛山氏を慌てさせた。

ここでは、サッカー選手とタバコの関係について考察する。


ヨハン・クライフ氏 写真:Getty Images

現役時代からヘビースモーカーのクライフは

現代のサッカー界では、選手のアスリート志向が強まり、喫煙は減少傾向にある。40歳でありながらもトップコンディションを維持し続けているポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)のようなストイックな選手がその代表格だ。

しかし過去に遡ると、1970年代を代表する元オランダ代表のレジェンドFWヨハン・クライフ(2016年死去)や、レアル・マドリード監督を2度務めた(2016–2018、2019–2021)元フランス代表MFジネディーヌ・ジダンなど、過去の名選手の中には喫煙者だった例もある。

特にクライフは現役時代からヘビースモーカーで、バルセロナの監督だった時代(1988-1996)はベンチでタバコを吹かす姿がトレードマークだった(現在ベンチでの喫煙は禁止されている)。

しかし、1991年には心臓発作を発症し、冠動脈のバイパス手術を受けたクライフ。その後はタバコの代わりにチュッパチャプスを咥えることになる。その姿を見たバルセロナに本社を構えるチュッパチャプス社はすぐさま広告宣伝に利用した。クライフはその後、肺がんを発症し、2016年に68歳の若さで世を去った。


リオネル・メッシ 写真:Getty Images

意外に多い、スター喫煙者

また、アルゼンチンのレジェンドMFディエゴ・マラドーナ(2020年死去)、元フランス代表ミシェル・プラティニ(1987年引退)、元イタリア代表MFロベルト・バッジョ(2004年引退)など、一時代を築いたスター選手も紫煙をくゆらせていた。

現役選手でも、ブラジル代表FWネイマール(サントス)、元イタリア代表FWマリオ・バロテッリ(ジェノア)、イタリア代表FWマルコ・ヴェッラッティ(アル・アラビ・ドーハ)らも喫煙者と言われている。

また、ポーランド代表GKヴォイチェフ・シュチェスニー(バルセロナ)や元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォン(2023年引退)、元フランス代表GKファビアン・バルテズ(2006年引退)など、ゴールキーパーにも喫煙者は多い。

そして現在、喫煙者サッカー選手の筆頭として名前が挙がるのが、かつてC・ロナウドとバロンドールを争ったアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)だ。

メッシは10歳時、類まれなる才能を持ちながらも、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」というホルモンの分泌異常に悩まされ、バルセロナが高額なホルモン注射などの治療費を全額負担することを約束した上で契約したという。

そんなメッシでもタバコを吸いながら、あの超人的パフォーマンスを披露していたのだから、吸おうが吸うまいが関係ないようにも思えてくる。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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