Jリーグ

J3テゲバジャーロ宮崎が教えてくれたこと。ホームスタジアム観戦記

チキン南蛮バーガーセット(600円)写真:筆者

ユニスタの様子やグルメ

再び幟が立つ道に戻り、スタジアムへ。ながの屋さんからは数分で到着。スタジアムの真横には、約530台を収容できる駐車場がある。ここが満車になった場合にはすぐ近くにある、約200台収容の北側駐車場が開放され、この2箇所の料金は300円。また、スタジアムまで徒歩15分の新富町役場駐車場も利用可能だそうで、こちらは無料で利用できる。

入口で係の方にチケットを見せ、いよいよユニスタに入場。このスタジアムの入場可能数は5,354人とコンパクト。バックスタンドがないため、非常に分かりやすい作りをしている。入口から右に進むと、出店がたくさんありスタジアムグルメ等が売られているエリアとなる。

真っ直ぐ階段を上るとスタジアムのコンコースへ。メインスタンドで観戦される方、アウェー側のゴール裏で観戦される方、トイレを利用される方。グッズ販売やファンクラブへの入会もこちら。左に進むとホーム側のゴール裏へ。今回は観戦するだけではなく熱く応援するつもりだったため、宮崎らしくチキン南蛮バーガーセット(600円)、テゲバジャーロのタオルマフラーを購入したのちホーム側のゴール裏へ。

ユニスタのゴール裏は芝生席。ふかふかの芝生が気持ち良く、この日のように天気が良いとなおさらだ。芝生に座ってチキン南蛮バーガーを実食。バンズもチキンも大きく、バーガーに合った味付けになっていて凄く美味。あっという間に完食し、セットのポテトと唐揚げも完食。良い感じにお腹が膨れた。これで600円って、なんて激安…。

そしてSNSでやりとりをしていたテゲバジャーロのサポーターさんと合流。ゴール裏の立見席エリアで観ている方なので、買ったばかりのタオルマフラーを首に巻き一緒に立って観戦することに。周りの方にまで紹介してくれ、とても気さくなゴール裏の皆さんが一気に輪に入れてくれた。


柏木陽介(現FC岐阜)写真提供:Gettyimages

FC岐阜戦の模様と、福岡に帰るまで

試合前の選手たちのウォーミングアップ、航空自衛隊西部航空音楽隊によるサッカー関連の曲の生演奏があり、ボルテージは上がるばかり。そしていよいよキックオフ。ゴール裏は高さはないがピッチまで非常に近く、最前列ならば選手と同じ目線で観ることができる。

太鼓等によるチャント(応援歌)のリズムに合わせて手拍子するが、初見ではなかなか難しい。それでも前半のうちには合わせられるように。またこの試合から大旗を振ることが許可されており、幸運なことに約2年ぶりに宙を泳ぐ姿を見ることができた。

試合は、前半は大逆転での昇格を目指すFC岐阜のペース。ハイプレスから、最前線にいるJ3得点ランキングトップの川西翔太にボールを集める。すると、20分にテゲバジャーロのパスミスを見逃さずに先制ゴール。FC岐阜のCKの場面では、キッカーとして目の前に元日本代表の柏木陽介が。スタンドとピッチが近いスタジアムだからこそ味わえる臨場感だ。

押される時間が多かったテゲバジャーロ宮崎。リードされたまま前半を終えるかと思ったが、今季の反発力は伊達じゃない。前半アディショナルタイム、ゴール前でFKを得ると前田椋介がGKとの駆け引きに勝って逆を突き、直接決めて前半のうちに追いつくことに成功。スタジアムを声にならない歓声が包み、周りのサポーターとハイタッチならぬ腕タッチ、肘タッチで喜びを分かち合う。

初対面の方とまるで親しい友人のように喜び合えることも、サッカーの楽しさの1つ。ハーフタイムには改めてサポーターの方々と親交を深め、後半へ。後半4分に再びリードを許すが、気落ちすることなく太鼓や手拍子で後押しする。すると試合開始からアグレッシブに入ったFC岐阜の走力がやや落ちたこともあり、ここからテゲバジャーロの攻撃力が大爆発。

後半9分に再び前田椋介、19分には渡邊龍が決めて逆転。23分には梅田魁人が追加点を決め、なんと今季ユニスタで初の4得点。FC岐阜も懸命の反撃で追い詰めたが、4-3でテゲバジャーロ宮崎が勝利。得点の度にボルテージの上がったスタジアムは、歓喜の渦に包まれた。

試合終了後にピッチを1周する選手達を大きな拍手で称え、快く輪に入れてくれたサポーターの方々に感謝を伝える。ここで、テゲバジャーロ宮崎のコールリーダーの方に話を伺うことができた。

「元々大分トリニータを応援していました。トリニータにいた森島康仁選手(藤枝MYFC、11月18日に今季限りでの引退を発表)が当時テゲバジャーロでプレーしていたので、鹿児島で行われた2017年の全国地域サッカーチャンピオンズリーグを観に行ったんです。そうしたらテゲバジャーロはサポーターがほぼいなくて。これはなんとかしないとと思い、他の方数人と応援を始めたのがきっかけです」

温和な雰囲気のコールリーダーが率いるゴール裏は、他クラブほど組織化されておらず個性的で自由な雰囲気が漂う、初見でも居心地の良い空間だった。

宮崎駅アミュプラザ 写真:筆者

電車に乗らなくてはいけないため、スタジアムを後にして日向新富駅へ。さすがに帰りの電車は乗客が多いが、それでも満員電車ほどではない。

J3首位に立っているロアッソ熊本の試合を、スマートフォンでチェック。便利な時代になったものだ。するとまさかまさか。熊本は2-0からカターレ富山に追い付かれて引き分けた。この結果を受け消化試合数が1つ違うとはいえ、テゲバジャーロ宮崎が首位に浮上。しかもテゲバジャーロ宮崎の最終戦の相手はロアッソ熊本。次節のカターレ富山戦、そしてロアッソ熊本との直接対決に勝てば自力で優勝を決められる状態になったのだ。試合までの数日間、「たられば」を語るのも楽しいではないか。

さて宮崎駅まで戻り、高速バスの時間までは約2時間。家族へのお土産を買ったり、2020年11月にオープンしたばかりのアミュプラザを散策する。時間になったので高速バスに乗車。気付いた時には寝てしまっていた。起きた時に感じたのは満足感と疲労感。気持ちの良い疲れと共にこの記事の下書きをしていると、バスは博多駅に到着した。

今回は日帰りのために宮崎駅と日向新富駅と新富町の一部、目的地のユニスタしか訪れられなかった。それでもテゲバジャーロ宮崎が、宮崎の地、新富町の地にしっかりと根付きつつある。サッカーの面白さを存分に堪能できるスタジアムもある。それを身を持って理解することができ、今季の躍進の要因の一端を実感することができた旅となったのだった。

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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