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イカルディとインテルの関係を悪くしたのは…

写真提供: Gettyimages

今年の夏、イタリアの移籍期間の一番の話題はイカルディとインテルの喧嘩だったと思う人が多い。しかし、選手とクラブの間に喧嘩が本当に起きたのでしょうか?全ての出来事にはもう一人の人物が関わっている。それはイカルディのエージェント(代理人)で妻でもあるワンダ・ナラです。

エージェントはとても大事な存在です。クライエントを経済的にも精神的にも守らなければなりません。そして、何があっても冷静に対応をしなければならない仕事だと思う。ワンダにはそれができない。むしろ、イタリアのたくさんのサッカー番組に彼女が発言していることを聞くと、感情で動く人だとわかります。

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ワンダが簡単にエージェントになれたのは…

なぜワンダはイカルディのエージェントになれたのか?それは2015年に起きたことのおかげです。FIFAが管理していたエージェントになるための試験がなくなり、フィーを支払うだけで、誰でもサッカーエージェントになれるようになった。

その時から様々な選手は奥さんや親戚などにエージェントの役割を任せて、失敗した。イカルディはその1人と思う。奥さんのワンダはショーガールである。目立ちながら、番組を見ている人を楽しませるのが役割。エージェントは逆に裏で動く人物で、口の固い人である。こんなに違う仕事を同時にこなすのは極めて難しいだろう。

彼女がテレビで発言したことが問題になり、イカルディを何度も困らせた。確かに選手にとって身近にいる人をエージェントにするのはいろんな面で自由がきく。しかし、エージェントが奥さんなどだと、取引中に感情的になる可能性がある。選手のサッカー生命に関わることが起きることも考えられる。

ちなみに、イタリアでは2018年からエージェントになるための試験は復帰しました。エージェントになりたい方はその試験を合格しなければなりません。

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イカルディとインテルの関係が悪くなったきっかけ

イカルディは一年以上インテルのキャプテンを務めていたが、最初からキャンプテンの素質がなかった。キャプテンの役割はチームをまとめることです。そのために厳しさや人と向き合うための勇気も必要。イカルディにはその特徴がなかったためグループをうまくまとめれなかった。しかし、最初から立派なキャプテンなんてない…下記の問題がなればイカルディはまだチームに愛されていたはず。

全てが始まったのは2019年の2月。イカルディのエージェントと妻であるワンダはイタリアのスポーツ番組「TikiTaka」のカメラの前でペリシッチに関する発言をした。「インテルから離れたい理由は個人的な事情である」と。その後、ペリシッチは「奥さんを黙らせろ」とイカルディに強く怒ったそうです。ペリシッチだけではない。たくさんのインテルの選手は同じことでイカルディとぶつかった。

ワンダは毎週番組で誰かの悪口や秘密を言って、イカルディ、そしてインテルに迷惑をかけた。しかし、1番おかしいのはイカルディが妻の言っていることに対して黙っていたことです。キャプテンであった彼はチームの雰囲気のためにもワンダの行動を止めければならなかった。

今年の夏、インテルとの喧嘩のクライマックスの時もそうだった。イカルディがPSGに移籍する前に「インテルに残りたい」、「移籍したい」また、「クラブが悪い」など…はっきりスタンスを取るべきだった。しかし、インテルに対する発言は全てワンダの口から出たものだった。

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残念なことは…

イカルディはインテルのためにずっと戦っていた。そして、インテルはイカルディのゴールのおかげでたくさんのゲームに勝利した。この別れはもっと悲しい別れになるはずだった。なのに、ワンダがイカルディの前にずっと立っていたこと、またはイカルディがずっと黙っていたことで、イカルディのイメージも一気に悪くなった。

結果、イカルディは涙もこぼさずにPSGに移籍した。サポーターはイカルディがインテルから離れたことをホッとした。一年前に誰にも想像つかなかった別れであった。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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