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ブッフォンの新たな役割。再びユーべに戻った理由とは?

写真提供: Gettyimages

今年の7月ブッフォンはユーべに帰ってきた。このニュースはイタリア、そして世界を驚かせた。1年前にジジはビアンコネーリと素晴らしい17年間を過ごしてから、PSGに移籍することを決意をしたので、まさかユーベに戻ってくるとは…誰にも想像できなかったことです。

2020年1月に42歳になるジジなのに、PSGを辞めた時はたくさんのクラブからオファーをもらっていた。まず、ニューヨーク・シティからの話が出てきた。そこでプレーしていたピルロにお勧めされていたわけだし、アメリカへの移籍を選んでもおかしくなかった。

その後、ジジがプロデビューをしたパルマに戻るチェンスも出てきた。彼にとって悪くない話だったと思う。スーパースターがキャリアの終わりにスタートを切ったチームに戻るのは珍しい話ではない。パルマならユーベのサポーターもジジの考えを理解し、その移籍を許してくれてたはず。

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カタールや中国も手を上げたが、ジジはお金のために動く人間じゃない。そういったチョイスは最初から彼の頭になかった気がする。また、もう一つ出てきていた話はサッカー協会からの誘いです。ジジにデスクワークをさせるなんて、考えられない話…

ユーべの復帰の話は最後の最後までしか出てこなかったが、ジジは他の全てのオファーを断って、ユーベに戻ることにした。しかし、ニュースを聞いた時にありえないと思ってた。

ジジがPSGを辞めたメインの理由はアレオラのセカンドをやりたくなかったことです。しかし、ユーベにも同じ状況にいる。メインのキーパーはシュチェスニーなのだから。どんなにいいパーフォーマンスを見せても、ブッフォンはスタメンの座を手に入れることはまず考えられない話です。ユーベは未来のことを考えて、新しいキーパーを育てる必要があるので、ジジはあくまでもシュチェスニーのサポートをする役目になる。じゃあ、なぜブッフォンは再びユーベを選んだだろう…

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「40歳になったら引退する。しかし、その前にチャンピオンズリーグを優勝するつもりです」、「チャンピオンズリーグを優勝しても引退しない」、「チャンピオンズリーグを優勝したら、引退する」、ジジの引退の話はいつも曖昧で、大きく変わったりする。

しかし、引退する前にチャンピオンズリーグを優勝したいという強い思いだけはずっと変わってない。もちろんユーベも同じ思いがある。ロナウドも獲得し、クラブはその目標に向かって準備を進めている。ジジは夢を叶えるチャンスだと思って戻ってきたでしょう。

ジジがセリエAに戻った理由はもう一つ考えられる。それはマルディーニの記録を破るため。マルディーニはセリエAの試合に647回出場して、現在セリエAの歴史の一番出場回数が多い選手である。ジジはユベントスに戻る前に640出場という回数に留まっていた。あと少しでマルディーニを超えることができる。

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ブッフォンはそういったことに興味がないと思う方もいるだろう。しかし、ブッフォンの契約には一つのオプションが追加されたという噂がある。それは「最低でもリーグ戦8試合で起用される」というオプションです。8試合に出場すれば、ちょうどマルディーニの記録を破ることができる。

しかし、今まで話したことはジジの一方的な事情にすぎない。じゃあ、なぜユーベはブッフォンを再び呼んだんだろう。それは新しく誕生しようとしているユーベにとって大事な存在だからに違いない。

ジジは間違いなくこの20年の一番強いキーパー。そして、ユーベとの信頼関係がとても深い。監督もシステムも変わったユーベは見せてなくても不安を抱えているはず。そのときに大事な役割を持つのはベテラン選手。しかし、キエッリーニだけじゃあユーベを支えることができない。

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ボヌッチは正直リーダーという役割に向いてないと思う…まず、ユーベに移籍したのは2010年、クラブは良くなりつつあった時期です。ユーベでは本当に辛い思いを経験していない。また、パーソナリティが強くても、冷静さがない。どっちかというと感で動くタイプです。さらに、ミランに移籍した裏切りは未だにサポーターに許されていなくて、100%信用されていないのも事実。

なのでジジを獲得して、彼にロッカールームを任せるのはナイスアイディアだった。彼には優しさもあり、厳しさもある。ユーベとの優勝経験もあり、苦しい時期にもユーベを支えた経験もある(2006年ユーベがセリエBに落ちた時など…)。そして、誰よりもサポータに愛されている。私にとってジジの獲得は今年の夏の一番大事な移籍だったと思う。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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