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セリエで再び輝く!ベルルスコーニとカッリアーニの新たな冒険

写真提供: Gettyimages

最近とても懐かしい気持ちになっている。あまり結果を出してないミランを見ると、私が若かった時にサンシーロで最強に強いミランを応援していたことを思い出して、悲しくなる。もちろんサポーターはどんな状況であっても好きなチームを支えなければならない。しかし、勝利のDNAを持っていたミランを思い出すと、正直今は悪夢を見ているような感覚になる。

その懐かしいミランを作り上げたのは間違いなくベルルスコーニとガッリアーニだった。そして、この二人はもう一度組んで新しい冒険を始めた。ちょうど一年前に二人はモンツァというセリエCのチームの運営を始めた。間違いなくモンツァには輝かしい未来が待っている。

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二人のミランが最強だった理由

ベルルスコーニとガッリアーニのミラン時代は1986年から始まり、30年以上続いた。当時ガッリアーニはモンツァの副会長に勤めていて、ベルルスコーニがミランの社長になった時にミランに呼ばれた。その後、この二人は29タイトルを獲得し、その中で5つのチャンピオンズリーグも優勝した。

彼らの成功は3つのポイントにまとめられる。経済的な余裕、ハデさ、そして選手との良い関係であった。ベルルスコーニはテレビマンだった。RAI(イタリアのNHK)しかなかった時期にメディアセットという新しいチャンネルを作り、当時誰も見たことがなかった新型テレビ番組を作成した。当時テレビはニュースを取り上げるためのものだけだったが、メディアセットが新しいクイズ番組や国民が参加できる番組を作ったことで、テレビの世界が変わった。

ベルルスコーニの役割はミランにパーフォーマンスができる最強のぶたいを用意することだったなら、ガッリアーニは選手一人一人のケアに努めていた。カッリアーニはとても穏やかで、選手の状況をよく観察していた人です。そのガッリアーニは選手と笑顔でコミュニケーションをとり、チーム内の環境作りに力を入れていた。

当時のミランにお金があったからこそ、たくさん優勝できてた…と思っている方も多いだろう。確かに、経済的な余裕があったことでいろんなことがもっとスムースに行ったかもしれない。しかし、強くなるにはそれだけじゃあ足りない。年俸の高い選手がたくさん獲得しても、素晴らしい環境、そしてイキイキできる雰囲気がないと強くなれないと私思っている。

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モンツァとの新たな冒険

ミランで解散したベルルスコーニとカッリアーニのコンビはしばらくサッカーから離れたが、やはりこの素晴らしいスポーツが与えてくれるワクワク感なしでいられなかったみたい。それで最強のコンビは再び組んだ。2018年9月27日、ベルルスコーニがモンツァのオーナーになること、そしてガッリアーニがモンツァのCEOになることが発表された。

カッリアーニの言葉にはサッカーへの愛が語られている。「ベルルスコーニが私をミランに呼ぶ前に、すでに10年以上モンツァに関わっていた。そして、ミランにいた時も、ミランの試合が終わった時にすぐモンツァの結果を尋ねていた。モンツァがセリエCに上がった時はすごく嬉しかった。実は私のお母さんがこのチームに仕事していたから、5歳の時からモンツァを応援している。」

ベルルスコーニはいつも時代の流れと真逆な行動をとる。ミランの担当になった頃は全てのチームが規律正しい環境にあった。その時ベルルスコーニがチームに持ってきたのはハデさと自由さであった。しかし、厳しさも優しさも失った今のサッカーを変えるように、ベルルスコーニは再び時代と逆方向にいくような発言をした。

「イタリア人の若い選手を中心にしたチームを考えています。現代のサッカーと違う雰囲気を作りたい。変な髪型も長い髭もタトゥーも許されない。ピッチ内のフェアープレーを大事に考えたい。選手がファールしたら、相手にごめんなさいを言う。審判の判断が間違ても、彼に対して失礼なことを言わない。試合終わった時にどんな結果であろうと相手に拍手をする。そして、サポーターを第一にして、サインを求める時にしっかり対応するチームを作りたい。」日本のサッカーっぽくて、とてもいいと思った。

モンツァに来てからこの二人はすぐ結果を見せた。2018/2019年シーズンのセリエCにはいきなりの5位。そして、今シーズンはセリエCが3つのグループに分けられ、モンツァはグループAの1位の座に立っている。

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当時の強いミランのように、モンツァには夢がある

ベルルスコーニとガッリアーニには新しく生まれたモンツァを強くするに違いない。そして、バカでっかい夢を見ているから、面白く感じる。「このモンツァはどこまで導きたいのですか?」と言う質問にガッリアーニはこう答えた。「夢は大きくないとダメと私思っています。私の夢はミラン対モンツァのダービーを見ることです。うまくいけば2年後セリエAでミランと戦える。高い目標を持ってセリエAまで登っていきたい。」

実現しにくい…たどり着くのは難しい…それでもサポーターも選手もワクワクしているに違いない。残念ながら、これは今のミランにないものです。

もちろんセリエA、そしてヨーロッパで戦うのはそんな簡単なことではない。しかし、今のミランには無理でも、数年後にたどり着く高い目標を考えるべきです。そして、サポーターに伝えるべきです。今のミランにはそれがないと思いませんか?

サッカーには何が起きるのはわからないので、実現できないかもしれない。しかし、今の苦しみは5年後もう一度世界のトップに立つための苦しみだとサポーターがわかっていたら、希望を失わずに戦ってくれるでしょう。

夢を持って、それに向けて戦う。ベルルスコーニとガッリアーニが絡んでいると、それが感じさせられることです…次イタリアに戻ったらモンツァの試合見に行ってパワーをもらおう…

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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