ラ・リーガ レアル・ベティス

Dr.TRIBE【試合診断書】 ラ・リーガ第10節 ヘタフェ対レアル・ベティス

大会:ラ・リーガ
カード:ヘタフェvsレアル・ベティス
スコア:2-0
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ジェネ・ダコナム

粘り強い守備と、高い運動能力を活かした肉弾戦で、ベティスのFWをシャットアウト。横へのスライドも早く、90分間最後まで集中力を切らさずに、クリーンシート達成に貢献した。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ヘタフェイレブン

全ての局面で勝ったヘタフェ。その理由は、一人ひとりの選手たちが、やるべきことをやり切ったところにある。球際の争いに激しく食らいつき、攻撃でも守備でも全ての選手がチームのために働いた。必然の結果だと言えよう。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):アントニオ・バラガン

前半に素晴らしい崩しからチャンスを迎えたものの、フィニッシュの局面で精度を欠き、チャンスを無下にした。ビトリーノ・アントゥネスとアマト・エンディアイエにサイドの主導権を握られ、失点につながりかねない致命的なバックパスのミスもあった。


ヘタフェの攻撃vsベティスの守備

ヘタフェ:ショートカウンターを狙いとして持っていたヘタフェは、9番のアンヘル・ロドリゲスが相手DFラインの裏、特にWBとCBの間のスペースに飛び出して、深さを作りまずはそこを狙う。

サイドからのクロスボールに対して2トップが飛び込んでゴールに迫る形も多く、特に左サイドバックの3番アントゥネスの左足から放たれるクロスは正確で、ひとつの武器となっていた。

ベティス:基本的には前から人を埋めてプレスをかける。アンカーの14番ウィリアム・カルバーリョは10番リャド・ブデブズのカバーをしながらバイタルエリアを埋める。最終ラインでは、常に3vs2の数的優位を確保し、ひとりは余ってカバーに入れる状態をキープ。

2失点目の場面で露呈したのが、このチームの弱点のひとつ。人はいるものの、チャレンジ&カバーが明確に決められず、ドリブルで内側に侵入される形で失点。アトレティコ・マドリードとの試合でも同じような形から得点を許している。

2失点してから4-3-3にシステムを変更し、より1対1で守る局面が増えたが、6番のカナレスを入れたことで、ボールが落ち着くところができ、守備時間自体が減った。


ベティスの攻撃vsヘタフェの守備

ベティス:3-1-4-2のシステムをチョイスしたこの試合。3vs2の数的優位が最終ラインでつくれるものの、両脇のCBにボールが入った段階で、同サイドのSMFが2トップとともにプレスに出てくる相手に対して、明確な解決策が見いだせず。

高い位置をとるWBに相手SBが食いつき、左のIHを務めた21番のジオバニ・ロ・チェルソが、相手のSBとCBの間のスペースに走り込む形でチャンスを作るか、素早いサイドチェンジで相手をずらすような展開でゴールに迫った。

中央でも3vs2の数的優位があったものの、14番のウィリアム・カルバーリョに対して20番のネマニャ・マクシモビッチがマンツーマン気味についてきたことに対応できず。

ヘタフェ:2トップ+ボールサイドのSMFが相手の3バックに対してプレスをかけ、相手のアンカーでプレするカルバーリョにはマクシモビッチが前に出てパスコースを消す。この形のプレスをかけた際は、ボールサイドのSBは相手WBのところまで上がって人を捕まえる。

守備の特徴は、一人ひとりがボールに対して強くアプローチし、特に縦パスに対しては簡単にはキープさせない。グループとしてサイドボールを誘導し、タッチライン際でボールを奪いとる。


ヘタフェ監督:ホセ・ボルダラス

選手に実行させるのは決して簡単ではない、インテンシティの高いサッカーをチームに浸透させて、この試合ではほぼ完ぺきに実行させた。

ベティスのビルドアップに対して、多くのチームが引いて守りを固めるのに対して、よく組織されたプレシャーを敵陣からかけはじめ、パスの出どころを潰すことによって、相手のリズムとテンポをそぎ落とした。


ベティス監督:キケ・セティエン

イタリアでのアウェイ戦から中1日という、かなりハードなスケジュールの中で難敵ヘタフェを相手にゲームの主導権を最後まで握ることができなかった。

大きな違いを生んだひとつの要素には、GKにジョエル・ロブレスを起用したことがあげられる。パウ・ロペスよりもは足元の技術に劣る彼のパスミスから2失点目を献上。彼のスタイルにおいて、GKから良質なパスが出せないことは大きな足かせになる。


主審:サンティアゴ・ハイメ・ラトレ

疑問の残る判定がいくつかあったものの、球際で激しく戦うヘタフェのスタイルを考えれば、上手くさばき切ったと言っていいだろう。特に前半に判定の基準の曖昧さを感じさせたが、後半は安定したレフェリングだったと言っていい。