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サッカー界で軽視されてきた脳震とうの危険性と改善されるべき対応策

テリー・ブッチャー

元イングランド代表キャンプのテリー・ブッチャー 写真提供:Getty Images

 日本の大学も参加した脳震とうと精神障害の研究

 そんな脳震とうだが、Fifpro(国際プロフットボール選手会)の研究によると、より慎重に扱われるべき損傷であることが分かってきた。

 神奈川県川崎市の聖マリアンナ医科大学も参加した研究結果によれば、現役時代に4回から5回脳震とうを発症した人は、精神不安やうつ病、睡眠障害を発症する確率が、脳震とうを発症したことのない人に比べて、1.5倍高くなることが判明したのだ。

 これは、フィンランド、フランス、アイルランド、ノルウェー、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイスの8か国で、50歳以下の元サッカー選手、アイスホッケー選手、ラグビー選手、合計576名に対して行ったアンケートをもとに研究された結果で、6回の脳震とうを経験した人は経験していない人に比べて、2倍から5倍の確率で、何らかの精神障害の症状を発症することも分かっている。

 世界選手組合の医療最高責任者であるヴィンセント・グッテバージュ医師は、「これは、脳震とうがどんな精神障害をもたらしうるかを示唆した、重要な調査です」「私たちのようなサッカーの利害関係者たちは、現役中か引退後かにかかわらず、選手の精神衛生について注意喚起する必要があるし、どんな危険があるのかについて選手に教育をほどこし、援助が必要な時はサポートするべきなんです」とBBCに語った。

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